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5月, 2021の投稿を表示しています

粟島神社:池袋のビルの谷間、イケとフクロウ

豊島区の小さな粟島神社(あわしまじんじゃ)を訪ねました。 境内はこぢんまりとしていますが、まず目に入ったのは清らかな水をたたえる池でした。案内によれば自然の湧き水で満たされているとのことで、武蔵野台地の縁に点在する湧水の名残が、町なかの祈りの場にそっと息づいているのだと実感します。ビルの谷間で水面が風にさざめくさまを眺めていると、時間がふっと緩むようでした。 社名の「淡島(粟島)」は、和歌山・加太の淡嶋神社に源流を持つ淡島信仰に通じ、女性の守護や病の平癒に霊験があるとして江戸でも勧請が広がったと伝えられます。小社ながらも、旅の安全と日々の無事を祈る人々の気持ちが積み重なってきたのでしょう。本殿に手を合わせると、境内の静けさが一層深く感じられました。 ふと見ると、フクロウの石像がこちらを見守っていました。池袋界隈でフクロウ像をよく見かけるのは、地名の「池袋」と「ふくろう(梟)」の語呂合わせから生まれた街のシンボルゆえです。駅構内の「いけふくろう」をはじめ、商店街の装飾やベンチ、モニュメントまで幅広く用いられ、〈福が来る〉〈不苦労〉といった当て字の縁起も手伝って、地域の親しみやすい守り神のような存在になっています。粟島神社のフクロウも、そんな街の文脈の中で、湧水の池とともに訪れる人をやさしく迎えているのだと感じました。 参拝を終えて振り返ると、水面に揺れる木々の影が印象に残りました。都市の喧噪から一歩離れ、湧き水と小さな社に守られた空間に立つと、江戸からつづく信仰の糸が現在の日常へと静かにつながっていることに気づきます。次に訪れるときは、季節を変えてこの池の表情をもう一度見てみたいと思いました。 旅程 椎名町駅 ↓(徒歩) 粟島神社 ↓(徒歩) 椎名町駅 周辺のスポット 豊島区立熊谷守一美術館 リンク 粟島神社|2022年7月16日|出没!アド街ック天国:テレビ東京

小平ふるさと村:グリーンロードの先の、水車がゆっくり回る、静かな歴史散歩

スクーターを小平駅で駐車し、青々とした小平グリーンロードを歩くと、街の喧騒から少しずつ離れていく感覚がありました。その先に現れるのが、小平ふるさと村です。この施設は、小平市の歴史や人々の暮らしを今に伝える屋外博物館として整備されています。本日は、よく晴れた日で、初夏の日差しが木々の緑をいっそう鮮やかに照らしていました。 門をくぐると、まず目を引いたのは茅葺屋根の大きな住宅です。江戸時代から明治時代にかけてこの地域で暮らしていた人々の家がそのまま移築されており、現代の住宅とは異なる素朴な造りや、土間、囲炉裏など、昔の暮らしの息遣いを感じることができました。屋根の大きな茅葺は、夏の強い日差しを和らげ、冬の寒さも防ぐ、昔の知恵が詰まったものであることを改めて実感します。 また、旧小平小川郵便局舎も見学しました。1908年(明治41年)に建てられた木造の郵便局舎は、現代の建物とはまるで雰囲気が違います。温もりのある木の壁や小さな窓など、かつての郵便局の様子がそのまま残されていて、地域の人々がここに集い、手紙をやりとりしていた様子が目に浮かぶようでした。 さらに敷地内には水車もありました。実際に水が流れ、木の歯車がゆっくりと回っている様子は、都会にいることを忘れさせてくれます。水車は昔の農業や製粉に欠かせないものでしたが、今やこうして動いている姿を見るだけでもどこか懐かしい気持ちになります。 現在は新型コロナウイルスの影響で、ふだん体験できる昔のおもちゃや生活道具に触れるコーナーは中止されていましたが、普段であれば子どもたちが昔遊びや木工体験など、歴史を肌で感じるプログラムも楽しめるそうです。こうした体験が再開されたときには、家族でのんびりと過ごすのにもぴったりの場所だと思います。 小平ふるさと村を歩いていると、近代から現代にかけての変化の大きさや、地域の人々が大切にしてきた暮らしの知恵に気づかされます。日常から少し離れて、過去に思いを馳せるひとときは、とても贅沢な時間でした。 旅程 東京 ↓(スクーター) 小平駅 ↓(徒歩) 小平ふるさと村 ↓(徒歩) 小平駅 関連イベント 周辺のスポット 江戸東京たてもの園 地域の名物 関連スポット リンク 小平ふるさと村 小平ふるさと村|東京都小平市公式ホームページ 小平ふるさと村/東京の観光公式サイトGO TOKYO 小平ふるさと村で...

穴八幡宮:朱の門、黒の殿、江戸の余韻

新宿区の高台に鎮座する穴八幡宮(あなはちまんぐう)にお参りしました。正面の大鳥居をくぐると、まず目に飛び込んでくるのは鮮烈な朱の隋神門です。軒の組物まで丹塗りが映え、石段を上がるほどに境内の空気が澄んでいくのを感じました。門を抜けると正面に黒塗りの拝殿が構え、落ち着いた艶のある黒と白木の対比が、静かな威厳を漂わせています。ここで一礼し、ゆっくりと参拝を済ませました。隋神門は江戸後期の建立で、戦災後に再建されたものだそうで、鮮やかな色合いの背景にそんな歴史も重なって見えます。 由緒に触れておくと、この神社は康平五年(1062)に源義家が凱旋の折、兜と太刀を納めて八幡神を祀ったのがはじまりと伝わります。のちに南側の山裾を切り開いた際、横穴から御神像が現れたという出来事にちなみ「穴八幡宮」と称されるようになりました。江戸時代には徳川家光の耳にも達し、江戸城北の総鎮護として崇敬を受け、将軍家ゆかりの行事として流鏑馬も奉納されています。境内に立つと、早稲田の街中でありながら、こうした歴史の層が静かに息づいているのを感じます。 拝殿脇を巡ると、鼓楼が目を引きました。上部の朱と下部の黒がきりりと締まり、太鼓を納める楼らしい端正さがあります。例大祭や大晦日に太鼓が鳴ると聞くと、杉木立にひびく音を想像してみたくなります。 さらに境内奥には「神武天皇陵遥拝所」の石碑が立ち、遠く奈良の橿原にある御陵へ心を向けるための場として静かに据えられていました。都市の真ん中で、大和へと視線が伸びる不思議な感覚を味わいます。 この神社といえば、冬至から節分のあいだだけ授与される「一陽来復」の御守もよく知られています。復活と転機を象徴する言葉になぞらえ、家々の恵方に貼って祀る独特の作法が受け継がれてきました。金銀融通の御守とも呼ばれ、季節が巡る時節の信仰を今に伝えています。 参拝後は隋神門を振り返り、朱と黒の濃淡のなかに江戸と近現代の記憶が重なる姿をしばし眺めました。門前の喧騒から一段上がっただけで、時間の速度が変わる——そんな感覚を与えてくれる場所でした。 旅程 家 ↓(徒歩) 肥後細川庭園 ↓(徒歩) 関口芭蕉庵 ↓(徒歩) 穴八幡宮 ↓(徒歩) 戸山公園 ↓(徒歩) 家 関連イベント 周辺のスポット 早稲田大学歴史館 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 戸山公園 地域の名物 関連スポット リンク 牛...

肥後細川庭園:江戸の風情が薫る緑の回遊路

昼の散歩に肥後細川庭園(ひごほそかわていえん)に行ってきました。 肥後細川庭園は、もともと新江戸川公園という名前だったのを2017年に改名しました。 肥後細川庭園は、江戸時代の終わりごろに肥後国(ひごのくに、現在の熊本県)の細川家の下屋敷の一つとなりました。 明治時代になると、細川家の本邸となりました。 1960年に東京都が購入し、1975年に文京区に移管されました。 肥後細川庭園は、回遊式泉水庭園で、中心の大きな池の周辺を歩きながら(回遊)、庭の景色を楽しむことができます。園内には、細川家ゆかりの銘花「肥後六花」のうち、肥後椿(ひごつばき)、肥後芍薬(ひごしゃくやく)、肥後花菖蒲(ひごはなしょうぶ)、肥後山茶花(ひごさざんか)が植えられています。「肥後六花」の残り2つは、肥後朝顔(ひごあさがお)、肥後菊(ひごぎく)です。 園内には、松聲閣(しょうせいかく)と呼ばれる建物があります。 松聲閣は、明治時代に細川家の学問所として建設されました。その後、大正時代に大改修が行われ、2階建てになり、一時期は細川家の住まいとしても使用されていました。現在の建物は、2016年(平成28年)に耐震補強されたものです。 旅程 家 ↓(徒歩) 肥後細川庭園 ↓(徒歩) 関口芭蕉庵 ↓(徒歩) 穴八幡宮 ↓(徒歩) 戸山公園 ↓(徒歩) 家 関連イベント 周辺のスポット 永青文庫 関口芭蕉庵 鳩山会館 地域の名物 関連スポット リンク 肥後細川庭園 | 文京区 肥後細川庭園 | 文京区 肥後細川庭園|一般財団法人 公園財団 肥後細川庭園 | 文京区観光協会