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カイディン帝廟:ベトナム最後の皇帝廟が魅せる華麗なる建築美

ティエンムー寺のあと、バスで南下しカイディン帝廟に向かいました。 カイディン帝廟(カイディン廟、Lăng Khải Định)は、ベトナム中部の古都フエ近郊に位置する、グエン(阮)朝第12代皇帝カイディン(在位1916-1925)の陵墓です。グエン朝の皇帝墓としては最後に造営されたもので、その華麗かつ独特な様式から、フエを訪れる旅行者の代表的観光名所の一つとなっています。 カイディン帝はフランス植民地統治時代の皇帝であり、ベトナム伝統文化と西洋様式の影響を大きく受けました。その結果、帝廟は1920年から1931年にかけて11年の歳月をかけて建設され、西洋と東洋、さらにはベトナム伝統様式を融合した独特な建築美を生み出しました。 カイディン帝廟は、フエ市中心部から約10kmほど離れたチョウチュ山(Châu Chữ)の斜面に建てられています。規模自体は他のグエン朝皇帝陵(ミンマン帝廟、トゥドゥック帝廟など)に比べて小振りですが、その分、内部装飾は非常に緻密で豪華です。 カイディン帝廟は、中国やベトナム伝統の宮廷建築様式に加え、フランスのコロニアル建築やバロック・ロココ風の要素など、東西が入り混じった唯一無二のデザインとなっています。 内部には陶磁器片やガラス片を用いて壁面や天井に精巧なモザイクが施され、カラフルなドラゴンや伝統的紋様が浮かび上がります。こうした緻密な装飾は、職人たちの高度な技術を物語っています。 廟の中心建築物は「天鼎宮(Điện Khải Thành)」と呼ばれ、カイディン帝の玉座が安置されています。また、ここには皇帝のブロンズ像や彼を模したレリーフ彫刻などがあり、内部装飾は息をのむほど豪奢です。 陵墓へのアプローチには層状に高くそびえる石の階段があり、その途中には文武官や動物像(象・馬など)が整然と並び、皇帝を守護するかのような厳粛な雰囲気を醸し出します。 内部壁面に施されたモザイクは、陶磁器やガラスが細分化され、鮮やかな色彩と複雑な文様を形作っています。陽光を受けて輝くその細工は、他の皇帝陵には見られない芸術性の高さが特徴です。 壁に使われているガラスや陶器は、瓶や食器を再利用したもので、日本のサクラビールの瓶も使用されています。 カイディン帝廟は、フエの歴史的建造物群とともに世界文化遺産として評価されています。その独創的な美術装飾と、近代ベトナム史...

ティエンムー寺:香りの川と七層の塔

阮朝王宮(グエンちょうおうきゅう)のあと、ティエンムー寺にバスで向かいました。 ティエンムー寺(Thiên Mụ Pagoda、天母寺とも表記)は、ベトナム中部フエ(Huế)近郊、フーン川(香河、Hương River)沿いに位置する歴史的な仏教寺院で、フエを訪れる観光客にとって非常に有名なスポットのひとつです。 ティエンムー寺は1601年、グエン氏(阮氏)の初代藩主であるグエン・ホアン(阮潢)によって創建されました。当時、この地には「天から遣わされた母神が訪れ、国の安寧と繁栄を告げる」という伝説があり、そこから「天母(ティエンムー)」の名が由来したと言われています。 その後、阮朝(1802~1945年)時代にかけて、ティエンムー寺は王家の保護を受けながら増改築が進められ、フエの仏教文化や精神生活の中心的存在となりました。 境内のシンボルである「フエの塔(Phước Duyên tower、テュ・ドゥック塔とも)」は高さ約21メートル、八角形の7層構造で、1844年に建てられました。この塔はフエのランドマークとしても知られ、境内に入る前から香河の対岸からも美しくそびえ立つ姿を望むことができます。 塔の背後には本堂や僧房、美しい庭園が広がっており、敷地内には多くの仏像や歴史的遺物が点在しています。特に、静かで穏やかな雰囲気は訪れる人々に安寧を与え、フエならではの閑寂な風情を感じることができます。 1960年代には、ティエンムー寺は仏教徒による政治的・社会的抗議の拠点にもなりました。当時の南ベトナム政権による仏教弾圧に抗議する僧侶達が集まった場所として、国際的な注目を集めました。また、1963年に首都サイゴン(現ホーチミン市)で焼身自殺を行ったティック・クアン・ドック(Thích Quảng Đức)師の乗っていた自動車が、ティエンムー寺内に展示されています。 寺院を訪れる際は、過度に露出のある服装を避け、静粛な態度で参拝することが望まれます。また、写真撮影は基本的に自由ですが、僧侶や他の参拝者の迷惑にならないよう配慮が必要です。 ティエンムー寺は、ベトナムの歴史・文化・精神性を体感できる貴重な場所であり、その美しい建築やフエ独特の静寂な風景、さらにはベトナム近代史における象徴的な出来事とのゆかりなど、多面的な魅力を秘めています。フエを訪れる際は、ぜひ足を運んでみること...

阮朝王宮:ベトナム最後の王朝、阮朝王宮の魅力

本日はフエ観光の日で、6:30という早朝にホテルのロビーに集合し、ダナン駅までバスで向かい、そこから観光列車に乗ってフエまで移動しました。並行して、バスもフエに移動しており、フエで同じバスに乗り込み、昼食を取るためレストランに移動しました。昼食は宮廷料理でした。 その後、バスで阮朝王宮(グエンちょうおうきゅう)に向かいました。 ベトナム中部のフエ市にそびえる阮朝王宮。この壮大な建築物は、ベトナム最後の王朝である阮朝(1802年–1945年)の中心地として栄えました。歴史と文化の融合が見られるこの場所は、現在も多くの人々を魅了しています。 阮朝王宮の建設は、初代皇帝である嘉隆帝(ザー・ロン帝)の時代に始まりました。1804年に着工され、約27年という長い年月をかけて完成しました。この宮殿は、中国の紫禁城をモデルにして設計されており、広大な敷地内に行政機関や皇帝の住居、宗教施設が配置されています。王宮全体が風水の理念に基づき、慎重に計画されている点も特筆に値します。 王宮の敷地は、外郭城(フン城)、皇城、紫禁城の三つのエリアに分かれています。外郭城は防衛の役割を果たし、その中に位置する皇城は行政や儀式が行われる場でした。 そして、さらに奥にある紫禁城は、皇帝とその家族のプライベートな居住空間として厳重に管理されていました。これらのエリアは、皇帝の権威とベトナムの宮廷文化を象徴しています。 特に注目すべき建物の一つが太和殿(タイホア殿)です。 この場所は、皇帝が公式な行事を行うための中心的な建物であり、その豪華な装飾と威厳ある雰囲気が訪れる人々を圧倒します。 また、午門も見逃せないポイントです。この門は、皇帝が儀式の際に通る唯一の通路であり、王宮のシンボルとも言える存在です。 特に異彩を放つのがキエンチュン宮殿(Kiến Trung Palace, 建中宮)です。歴史と文化が交錯するこの宮殿は、ベトナムの伝統と西洋建築が見事に融合した珍しい建築物でした。 キエンチュン宮殿が建設されたのは1921年から1923年の間のことです。第12代皇帝である啓定帝と第13代皇帝の保大帝の治世にわたって使用され、主に皇帝の住居として機能していました。保大帝はこの宮殿で日々の生活を送り、外交活動や重要な会議もここで行われました。当時のフランス植民地時代の影響を受けて建設されたこの宮殿は、ベ...