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府中市郷土の森博物館 本館:府中市の歴史を体感

旧石器時代の資料を見たく武蔵台遺跡の関連資料が展示されている府中市郷土の森博物館に来ました。博物館のチケット売り場前には行列ができており、何か有名な特別展でもやっているのか思ったのですが、郷土の森博物館は梅園(ばいえん)でも有名で、梅の見ごろの時期ということで家族連れがたくさん訪れていたようです。 府中市郷土の森博物館の本館は、府中市や多摩地域の歴史や文化、自然を幅広く紹介する魅力的な施設です。館内に一歩足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたかのように、古代から近代までの府中市の歩みを感じることができます。 本館の展示は、常設展示と企画展示に分かれています。常設展示では、府中市の豊かな歴史が丁寧に紹介されています。古代の武蔵国府の時代から、中世の甲州街道沿いの宿場町としての発展、そして近代の街並みまで、各時代ごとに趣向を凝らした展示がされています。特に、江戸時代のくらしや、かつて府中で栄えた養蚕業についての展示は、当時の生活を具体的にイメージできるよう工夫されています。 館内には、実物大の復元模型やジオラマ、さらには体験型の展示も多く、子どもから大人まで楽しめます。たとえば、昔の道具に触れたり、古民家の中に実際に入ってみたりと、視覚だけでなく体全体で歴史を感じることができます。音や映像を使った演出もあり、歴史に詳しくない方でも興味を引かれること間違いありません。 また、季節ごとに開催される企画展示も見逃せません。地域の伝統文化や自然に関するテーマが取り上げられ、何度訪れても新しい発見があります。現在は、『市制施行70周年記念 特別展「古代たまの寺とみほとけ」』と『企画展「ちょっとむかしのくらし~その6~」』が開催されています。「ちょっとむかしのくらし」では、昭和60年ぐらいまでの暮らしに関する展示で、自分がすでに生まれていた時代なので、自分も歴史の中を生きてきたんだということを実感しました。若いご家族が、蝿帳(はいちょう、はえちょう)を「あの埃除け欲しい」と言っているのを聞いて、確かに最近はハエを見ないなぁ、とも感じました。 本館には、プラネタリウムも併設されており、現在の季節の星空の解説やギリシア神話、ちこちゃんなどをテーマとした上映がされています。快適なシートで星空を眺めているからか、あちこちから、静かないびきも聞こえてきます。 さらに、本館にはミュージアム...

浜松市博物館:旧石器時代から近代まで歴史と文化の宝庫

宗源院から西へ進み浜松市博物館(はままつしはくぶつかん)に向かいました。 浜松市博物館は、静岡県浜松市中区蜆塚四丁目に位置する、地域の歴史と文化を学べる魅力的な博物館です。この博物館は、もともと1958年に「浜松市立郷土博物館」として浜松城天守閣内に開館しましたが、1979年に現在の場所へ移転し、「浜松市博物館」として新たにスタートしました。 館内では、浜松地域の歴史を原始時代から近代まで幅広く紹介しています。特に注目すべきは、約50万年前から1万5千年前に生息していたナウマンゾウの骨格模型です。その迫力ある姿は、来館者に太古の地球の歴史を感じさせてくれます。また、浜松周辺の遺跡や古墳から出土した装飾品や農具なども展示されており、当時の人々の暮らしぶりを垣間見ることができます。 浜松市博物館のすぐ隣には、国指定史跡「蜆塚遺跡」があります。この遺跡は、縄文時代後期から晩期(約4,000年前~3,000年前)の集落跡として知られており、復元された竪穴住居や、貝殻が堆積した貝塚を見学することができます。青空の下、古代の住居や遺構を歩きながら、縄文時代の人々の生活に思いを馳せることができるのは、非常に貴重な体験です。 浜松市博物館は、家族連れや歴史好きな方はもちろん、浜松の文化に興味を持つすべての人におすすめのスポットです。展示物の豊富さや、実際に遺跡を見学できる体験型の魅力もあり、訪れるたびに新たな発見があることでしょう。浜松観光の際には、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。 浜北人 浜北人(はまきたじん)は、約18,000年前の旧石器時代後期に日本列島に住んでいた人々の一人で、1962年に静岡県浜松市浜北区の根堅洞窟から発見されました。この人骨は、若い成人女性のものと考えられており、国内で見つかった最古級の人骨として注目されています。 浜北人が暮らしていた旧石器時代後期は、まだ農耕や定住生活が始まる前の時代です。彼らは主に狩猟や採集による生活を送っていたと考えられます。根堅洞窟周辺の自然環境は、狩猟採集生活に適しており、彼らが日常的に利用していた場所であったことが推測されます。 浜北人の発見は、沖縄県で発見された港川人(みなとがわじん、約18,000年前)や山下洞人(やましたどうじん、約32,000年前)と並び、日本人のルーツを考える上で貴重な資料となっています。...

ゴブスタン国立保護区:岩に刻まれた4万年の物語を辿って、ペトログリフに見る先史の世界

アゼルバイジャンのバクーに来ました。ホテルで周辺のツアーが無いか聞いたところ、割と安い金額でプライベートなガイドをつけてくれるということでお願いしました。バクーの郊外にも見所がいくつかあるので助かりました。 まず、世界遺産のゴブスタン国立保護区を案内してくれました。ガイドの方は大学院生で考古学を専門としているらしく、「あなた(僕のこと)が英語ももっと話せれば詳しく説明できるんだけど」、と残念そうでした。 アゼルバイジャンを訪れるなら、ぜひ足を運んでいただきたい場所のひとつが「ゴブスタン国立保護区」です。バクーの南西、およそ60キロほど離れた場所にあるこの地は、雄大な自然と人類の遥かな歴史が交差する、まさに時空を超えた風景に出会える場所です。 この保護区で最も有名なのは、後期旧石器時代から中世にかけて描かれたとされる岩絵の数々です。現在までに発見されているだけでも6,000点を超えるペトログリフ(岩絵)があり、そこには人々の狩りの様子、踊る人々、戦いの場面、そして古代の船のような乗り物までが描かれています。絵の多くは写実的で、特に動物の描写は驚くほど生き生きとしており、当時の人々がどれほど自然と共に暮らしていたかが伝わってきます。 また、この地には「ガヴァル・ダシュ」と呼ばれる不思議な石もあります。この石はたたくと金属のような澄んだ音が鳴り響くため、古代の儀式や音楽演奏に使われていたと考えられています。現地では「ナチュラルな太鼓」として親しまれており、その音色に耳を傾けると、どこか遠い昔の鼓動が聞こえてくるような気さえします。 ゴブスタンでは岩絵だけでなく、洞窟の住居跡や古代の墓地など、先史時代の生活の痕跡も多く残されています。こうした遺構を見ていると、人類の歴史がいかに深く、そして重層的であるかを感じずにはいられません。 興味深いことに、ノルウェーの有名な探検家トール・ヘイエルダールもこの地を訪れ、アゼルバイジャンの古代文化とスカンジナビアの神話的伝承との関連に注目しました。岩絵に描かれた舟や踊りの様子は、彼にとって文明のルーツを探る重要な手がかりとなったようです。 敷地内には近年整備された博物館もあり、岩絵の背景や出土品について詳しく学ぶことができます。インタラクティブな展示や英語・アゼルバイジャン語による解説も用意されているので、訪問前後に立ち寄るとより深い理解...