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リガ大聖堂:中世の時を刻む鐘楼の下で、バルト三国最大級の聖堂で出会う音と静寂の風景

聖ヨハネ教会から北西に進み、リガ大聖堂に向かいました。 リガの旧市街を歩いていると、ひときわ目を引く重厚な建物が視界に入ってきます。それが、ラトビアの宗教的・歴史的シンボルとも言えるリガ大聖堂です。赤レンガ造りのファサードと高くそびえる尖塔は、リガの街並みにおいて欠かすことのできない存在となっています。 リガ大聖堂の建設が始まったのは1211年、リガを築いたドイツ人司教アルベルトによるものでした。当時はリヴォニア帯剣騎士団の宗教的中心地として、またバルト海地域におけるキリスト教布教の拠点としての意味も込められていました。何世紀にもわたって増築と改修が重ねられてきたため、この聖堂にはロマネスク様式からゴシック、さらにはバロックやアール・ヌーヴォーの要素までが共存しています。建築の各部位に、その時代ごとの美意識や技術が息づいていることが、訪れる者の目を楽しませてくれます。 この大聖堂のもうひとつの顔は、音楽の殿堂としての姿です。中でも特筆すべきは、1884年に設置されたパイプオルガンです。ドイツの名門ウォルカー社によって製作されたこの楽器は、6700本以上のパイプを持ち、世界でも屈指の規模と音色を誇ります。毎年夏になるとオルガンコンサートが開催され、聖堂に響き渡るその壮麗な音色を求めて、世界中から音楽ファンが訪れます。荘厳な内部空間と音楽が一体となる時間は、まさに時を超えた宗教芸術の体験そのものです。 また、大聖堂に併設された博物館では、ラトビアのキリスト教史に関する展示が行われており、写本や宗教画、かつての司教たちの遺品などが丁寧に紹介されています。中世の静謐な雰囲気が漂う回廊式の中庭では、観光の喧騒を離れてゆっくりと時間を過ごすことができます。石畳の床とレンガの壁に囲まれながら、ここで静かに過ごすひとときは、まるで時間が止まったかのような感覚を覚えさせてくれます。 現在もリガ大聖堂はルター派の大聖堂として宗教的機能を保っており、礼拝や宗教行事が行われています。その一方で文化的なイベントにも開かれた場となっており、市民の心の拠り所として、またラトビアの歴史と芸術を伝える場として、今も生き続けています。 リガを訪れるなら、ぜひこの大聖堂を訪れてみてください。壮大な歴史、建築の美、そして音楽が調和する空間は、観光という枠を超えた深い感動を与えてくれることでしょう。 旅程 ...