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7月, 2019の投稿を表示しています

トプカプ宮殿:イスラムとヨーロッパの交差点、スルタンの記憶が眠る宮殿でオスマンの夢をたどる

トルコのイスタンブール観光の2日目。地下宮殿のあと、トプカプ宮殿に向かいました。 イスタンブールを訪れるなら、一度は足を運んでほしいのが「トプカプ宮殿」です。この壮大な宮殿は、オスマン帝国のスルタンたちが約400年にわたり政務と私生活を営んだ、歴史的にも美術的にも非常に価値の高い場所です。ボスポラス海峡と金角湾を望む絶好のロケーションに建てられており、イスタンブールの旧市街を歩いていると、その威容に自然と引き寄せられるような気持ちになります。 トプカプ宮殿の建設は、オスマン帝国の第7代スルタン、メフメト2世によって1459年に始められました。彼がコンスタンティノープルを征服したわずか6年後のことです。以後、19世紀半ばまでの長い間、オスマン帝国の中枢として機能してきました。その後、近代化を進めていたスルタンたちは、新たに建設されたドルマバフチェ宮殿へと移り、トプカプ宮殿はその役割を終えることになります。 この宮殿は、中庭が4つも連なる構造を持っており、訪れる人々はその順に進んでいくことで、まるで時代や空間を旅するような感覚を味わうことができます。第一中庭は一般市民にも開かれていた広場で、古代ビザンツ時代の教会「アヤ・イリニ」が残されています。次に進むと、行政の中心だった第二中庭に入ります。ここには、重臣たちが会議を開いていた「御前会議の間」や、かつての台所跡などがあり、かつての宮廷生活の片鱗を感じさせます。 さらに「幸福の門」を通り奥に進むと、スルタンの私的な領域である第三中庭へと入ります。ここには、オスマン帝国の宝物が収められた「宝物庫」や、神聖な「聖遺物室」があります。特に聖遺物室には、イスラム教の預言者ムハンマドの髭や剣などが展示されており、非常に神聖な空間となっています。ムスリムでなくとも、その静謐な雰囲気には自然と背筋が伸びるような気持ちになります。 そして第四中庭は、美しい庭園やパビリオンが広がる、まるで別世界のような空間です。ここからはボスポラス海峡の青い水面を一望でき、風に揺れる木々や花々が、長い歴史に包まれた宮殿に穏やかな表情を添えてくれます。なかでも「バグダッド・キオスク」は戦勝を記念して建てられた建物で、精緻な装飾やタイルがとても印象的です。 忘れてはならないのが「ハーレム」です。ここはスルタンの家族や側女たちが暮らしていた特別な空間で、まさに...

地下宮殿:メデューサが眠る神秘の石の回廊、石柱が語るビザンツの物語

トルコ観光2日目の朝、イスタンブールの地下宮殿を訪れたました。外は今にも雨が降り出しそうな曇り空で、街を歩く人々も少し足早に見えたのを覚えています。そんな中、期待と少しの緊張を胸に、地下宮殿への階段を降りていきました。 地下へと進むと、ひんやりとした空気が頬に心地よく、上とはまるで別世界のような静けさが広がっていました。内部は想像していたよりもずっと広大で、天井は高く、あたりはライトの明かりがところどころに灯るのみで、全体的に薄暗い雰囲気です。その暗がりがまた歴史の重みを感じさせてくれます。 歩を進めるごとに、いくつもの石柱が林立している光景が目に飛び込んできます。一つひとつの柱や天井には美しい装飾が施されていて、ただの貯水池とは思えない荘厳さがありました。この地下宮殿は、ビザンツ時代の6世紀、ユスティニアヌス1世の時代に造られたとされ、イスタンブールの街を支えてきた重要なインフラでもありました。 中でも印象的だったのは、柱の土台に彫られている逆さまの顔です。ガイドブックで予習していた「メデューサの頭」を実際に目にした時は、その大きさと不思議な迫力に圧倒されました。なぜ顔が逆さまなのか、その理由には諸説あるようですが、こうした伝説や謎も、訪れる人々の想像をかき立てる大きな魅力の一つです。 静かに水が張られた地下の広間を歩きながら、遥か昔の人々がこの場所でどんな思いを巡らせていたのだろうと考えました。イスタンブールの喧騒とはまったく異なる、静謐で神秘的な空間で、短い時間でしたが悠久の歴史に包まれる特別な体験となりました。 旅程 ホテル ↓(徒歩) 地下宮殿 ↓(徒歩) トプカプ宮殿 ↓(徒歩) Sırkecı駅 ↓(路面電車) (略) 関連イベント 周辺のスポット アヤソフィア(ハギア・ソフィア) トプカプ宮殿 スルタンアフメト・モスク 地域の名物 シシケバブ ドネルケバブ 関連スポット リンク イスタンブールの地下宮殿「バシリカ・シスタン」|おすすめトルコ観光地BEST20 | トルコ旅行・トルコツアー おすすめプラン満載の【ターキッシュエア&トラベル】

アヤソフィア(ハギア・ソフィア):時を超えて輝くトルコの宝物、キリスト教とイスラム教が織りなす奇跡の空間

トルコにイスタンブール観光に来ました。お昼過ぎにホテルに着き、街を軽く歩いた後、世界遺産のアヤソフィア(ハギア・ソフィア)が夜も入場可能だったので、見に行くことにしました。 トルコ・イスタンブールの象徴的な建築物、アヤソフィアをご存知でしょうか。アヤソフィアはギリシア語で「聖なる叡智」を意味し、歴史的にも文化的にも非常に重要な建物として知られています。 アヤソフィアの起源は東ローマ帝国(ビザンツ帝国/ビザンティン帝国)の時代にさかのぼります。最初の建物は360年頃にキリスト教の大聖堂として建設されましたが、火災によって失われました。その後、537年にユスティニアヌス1世によって壮麗な大教会として再建され、当時としては驚異的な建築技術を駆使した巨大なドームが特徴となりました。そのドームは直径約33メートル、高さは約55メートルもあり、現代でも見る人を圧倒します。 1453年にオスマン帝国がコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を征服すると、アヤソフィアはモスクに改修されました。その際にミナレット(尖塔)や、イスラム教の礼拝方向を示すミフラーブなどが追加され、キリスト教時代のモザイク画の多くは塗りつぶされるか覆われることになりました。 トルコ共和国の建国者ケマル・アタテュルクの指導のもと、1935年にアヤソフィアは博物館となりました。これにより、キリスト教とイスラム教の両方の歴史を示す貴重な遺産が公開され、多くの人々に愛されるようになりました。 しかし近年の2020年、アヤソフィアは再びモスクとして使用されることになりました。現在は礼拝所として使われていますが、観光客も自由に見学できるため、歴史的なモザイク画や美しい内装を引き続き楽しむことができます。 1985年には、アヤソフィアを含むイスタンブール歴史地域がユネスコ世界遺産に登録されています。長い歴史の中でさまざまな文化と宗教が融合したこの建物は、トルコを訪れる際にはぜひ訪れてほしいスポットの一つです。その美しさと奥深い歴史に、きっと心を奪われることでしょう。 コンスタンティノープル コンスタンティノープルという名前を聞くと、多くの方は歴史の教科書に登場する東ローマ帝国の首都というイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、その実像は単なる「帝国の首都」という枠に収まらない、地中海世界とユーラシアをつなぐ壮...