東京都港区にあるNHK放送博物館に行ってきました。
東京・港区の愛宕山にある「NHK放送博物館」は、日本の放送の歴史に興味がある方にはぜひ訪れてほしい場所です。1956年(昭和31年)に開館したこの博物館は、日本で最初の放送専門博物館として、NHKが運営しています。地上波テレビが始まる少し前の時代から、現代のデジタル放送まで、日本の放送がどのように歩んできたのかを、数多くの展示を通して知ることができます。
館内では、初期のラジオ放送の機材や、白黒テレビの放送風景、さらにカラー放送が始まったころの貴重な映像資料などを見ることができます。NHKの名作番組――たとえば「おしん」や「プロジェクトX」、そして「紅白歌合戦」など――の映像を視聴できるコーナーもあり、当時リアルタイムで見ていた人にとっては懐かしさがこみ上げてくることでしょう。
こちらは、古いSF映画に出てくるような大きなボタンと、謎のレバーがついているので、昭和時代の機械に見えますが、1999年から2016年まで使われていました。
日本を代表する放送局であるNHKは、カラー化、デジタル化、4K、8Kと次々と技術を導入していきます。一時期3D放送なんてものもあったので、私たちが知らない間に消えていった、多くの技術もあったでしょう。
また、博物館の魅力のひとつは、実際に体験できる展示が充実していることです。アナウンサーの読み上げ体験や、昔の中継カメラを操作してみるコーナーでは、放送の舞台裏に少し触れた気分になれます。現在では放送100年に向けた特別展示も行われており、これまでの100年とこれからの未来をつなぐような展示内容になっています。
博物館は愛宕山の上にあり、周辺には愛宕神社や東京タワーなど、観光にもぴったりのスポットがあります。特に愛宕神社の「出世の石段」は急な階段で有名で、運試しのような気分で登ってみるのも楽しいかもしれません。
入館料は無料で、開館時間は午前10時から午後4時30分までです。月曜日が休館日ですが、祝日の場合は開館して翌日に休館となります。歴史を知り、懐かしさに触れ、未来の放送について考えることのできる、貴重な場所だと感じました。東京観光の合間に立ち寄ってみるのもおすすめです。
NHK
NHK(日本放送協会)は、日本における放送の歴史そのものと深く関わりながら発展してきた、公共放送の中心的存在です。その歩みをたどることは、日本社会や技術、文化の変遷を知ることにもつながります。
NHKの放送が始まったのは、1925年(大正14年)のことです。当時は「社団法人東京放送局」という名前で、東京の芝浦からラジオ放送がスタートしました。ラジオはまだごく限られた人々のものでしたが、それでも日本初の本格的な音声メディアとして、人々の暮らしに新しい風を吹き込んだのです。
翌年には大阪や名古屋でも放送局が設立され、これらを統合する形で「社団法人日本放送協会(NHK)」が誕生しました。つまり、NHKという名称が生まれたのは1926年(大正15年/昭和元年)のことです。
1930年代に入ると、全国的な放送網の整備が進み、NHKのラジオ放送はより広い地域へと届くようになります。ただし、この時期は次第に戦時体制へと移行していく中で、報道内容にも厳しい統制が加えられるようになりました。特に1937年(昭和12年)の日中戦争勃発以降は、戦意高揚や国策宣伝の役割がNHKに求められるようになっていきます。
1945年(昭和20年)8月15日には、昭和天皇による終戦の詔書、いわゆる「玉音放送」がNHKのラジオを通じて全国に伝えられました。この歴史的な中継は、日本人にとって忘れがたい瞬間だったといえるでしょう。
戦後は放送の民主化が大きなテーマとなります。連合国軍による占領の中で、検閲や政府の介入を避けるための仕組み作りが模索され、1950年(昭和25年)には「放送法」が制定されました。この法律により、NHKは公共放送として独立した立場から中立・公平な番組作りを行うことが制度的に保障されるようになります。
1953年(昭和28年)には、日本初のテレビ本放送がNHKから始まりました。映像で情報を伝えるという新たな手段が加わったことで、放送のあり方も大きく変わっていきます。高度経済成長期にはテレビが一般家庭に急速に普及し、NHKの番組は国民の生活の一部として定着していきました。
特に1964年(昭和39年)の東京オリンピックでは、カラー放送や衛星中継など、当時の最新技術を駆使して世界に向けた中継を行い、NHKの技術力の高さが内外に知られることとなりました。
1980年代には「NHKスペシャル」など、本格的なドキュメンタリー番組が誕生し、報道・教養分野でも高い評価を得るようになります。また、1989年(昭和64年/平成元年)には衛星放送(BS)の本放送が開始され、地上波では難しかった多様な番組展開が可能になりました。
2000年代に入ると、デジタル技術の導入が本格化し、ハイビジョン放送やインターネットを利用した配信サービスが始まりました。2011年(平成23年)には地上アナログ放送が終了し、完全に地上デジタル放送へと移行します。
現在では「NHKプラス」や「NHKオンデマンド」などを通じて、テレビやラジオだけでなく、スマートフォンやパソコンからも番組を視聴できるようになりました。また、国際放送「NHKワールドJAPAN」では、海外の視聴者に向けて日本のニュースや文化を多言語で発信しています。
NHKは時代とともに役割や技術を進化させながら、常に公共放送としての使命を大切にしてきました。その歴史を振り返ると、日本の放送の発展とともに、国民の暮らしや意識の変化も感じ取ることができます。これからのNHKが、どのように新しい時代の放送を切り拓いていくのかにも、引き続き注目していきたいと思います。
旅程
神谷町駅
↓(徒歩10分)
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周辺のスポット
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