秋の気配が深まりはじめた本日、足利学校へ向かう途中、私はふと思い立って鑁阿寺(ばんなじ)に立ち寄りました。少し肌寒さを感じる季節ではありましたが、空気は澄んでいて、散策にはとても心地よい日和でした。
鑁阿寺は、鎌倉時代に足利義兼(よしかね)によって創建された、真言宗大日派の本山です。もともとは足利氏の邸宅跡に建てられた寺院で、寺というよりは「武家屋敷と城郭の面影を色濃く残す寺院」とも言われています。
現在も境内には堀や土塁が巡らされており、いわゆる寺院建築とは一線を画す、武士の拠点としての面影を残しています。この独特の歴史的背景から、鑁阿寺は「日本100名城」にも選定されているのです。
境内では、まず本堂で静かに手を合わせました。国宝に指定されているこの本堂は、鎌倉時代の建築様式を伝える貴重な建物で、威厳がありながらも、どこか温かみを感じさせる佇まいです。
その後、多宝塔へ足を運びました。朱塗りの塔は木々の緑や秋の陽射しとよく調和しており、まるで絵画のような景色が広がっていました。
鐘楼の素朴な木造の構造や、経蔵に息づく書物への敬意もまた、鑁阿寺がいかに信仰と学問の場であったかを静かに語りかけてくるようでした。
鑁阿寺は単なる観光名所ではなく、足利氏の興亡を今に伝える歴史の舞台でもあります。そして、足利学校という日本最古の学び舎へ向かう前に、こうしてその祖となった武家の足跡を辿ることができたのは、私にとってとても意味深い体験となりました。今度は春や初夏、あるいは紅葉の盛りにも再訪し、また違った顔の鑁阿寺に出会ってみたいと思っています。
旅程
東京
↓(電車)
足利市駅
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明石弁天厳島神社(美人弁天)
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足利市駅
↓
茂林寺前駅
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茂林寺前駅
↓(東武伊勢崎線)
東京
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