本日、東京・九段にある靖国神社と併設の遊就館(ゆうしゅうかん)を訪れました。夕方から雨の予報ということもあり、空気はややひんやりとしていて、境内の木々にもどこか静けさが漂っていました。
まずは靖国神社を参拝しました。明治時代に東京招魂社として創建され、後に靖国神社と名を改めたこの場所には、戊辰戦争以降の戦争や事変で命を落とした人々が英霊として祀られています。社殿の奥には日本庭園があり、訪れる人の心を穏やかにさせてくれる佇まいを見せていました。
続いて、隣接する遊就館を見学しました。館内には戦国時代から近代にかけての武具や歴史資料が豊富に展示されており、特に目を引いたのは、靖国刀や庖丁政宗と伝えられる脇差、六連発火縄銃や南蛮筒といった火器、そして紅糸威の大鎧など、日本の武の美学と技術の粋を感じさせる品々でした。
展示はその後、幕末から明治維新、そして帝国日本の成立、対外戦争へと時代を追っていきます。ペリー来航やフェートン号事件、吉田松陰や坂本龍馬らの志士たちの紹介から始まり、五箇条の御誓文、徴兵制、富国強兵政策、そして日清・日露戦争へと続く流れは、近代国家としての日本の歩みを丁寧にたどるものでした。
さらに、大東亜戦争と呼ばれる第二次世界大戦期の展示では、戦闘機や潜水艦の実物大模型、特攻作戦に関する記録、戦地での生活を伝える品々が印象に残りました。館内には映像資料も多数あり、当時の社会の雰囲気や国民の意識を今に伝えようとしていることが感じられます。
一方で、展示の随所に、戦地で命を落とした人々を英霊として悼む姿勢が強く打ち出されており、それが見る者にさまざまな感情を呼び起こすことも確かです。こうした記憶の語り方や祀り方は、日本国内でも意見が分かれることがありますが、少なくともこの場所では、国家と個人の犠牲というテーマが、荘重な形式の中で表現されていました。
戦争の記憶をどう伝え、どう受け止めていくのかは、国や時代によってさまざまな形があるのだと、あらためて考えさせられる訪問でした。
旅程
市ケ谷駅
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東京駅
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