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6月, 2021の投稿を表示しています

池淵史跡公園:練馬の片隅で出会う日本の原風景と明治の古民家

本日、晴れやかな空の下、東京都練馬区にある池淵史跡公園を訪れました。この日はまず石神井公園を散策し、その足で隣接する池淵史跡公園にも立ち寄りました。 池淵史跡公園は、旧石器時代や縄文時代、さらに中世にまでさかのぼる遺跡が発見された歴史ある場所です。かつてこの地でどのような暮らしが営まれていたのか、想像が膨らみます。現在は整備された公園となっており、地域の人々の憩いの場となっていますが、その歴史の重みを感じながら歩くと、日常の風景にもどこか特別な趣が加わります。 園内でひときわ目を引くのが、明治時代の茅葺屋根の旧家である旧内田家住宅です。この住宅はもともと他の場所にあったものが移築されたもので、当時の暮らしぶりを今に伝える貴重な建物となっています。茅葺の屋根や広々とした土間、木のぬくもりが感じられる室内は、現代の住宅とはまったく異なる雰囲気で、時代を超えて受け継がれてきた日本の生活文化を肌で感じることができました。 旧内田家住宅の内部も見学することができ、座敷や台所、そして当時の生活道具の数々が展示されていました。建物の中を歩きながら、明治時代の人々がここでどのような日々を過ごしていたのか、静かな時間の流れを感じることができ、非常に貴重な体験となりました。 池淵史跡公園は、単なる公園としての魅力だけでなく、遠い昔から現代までの歴史が静かに息づく場所です。古代から続く土地の記憶と、明治時代の旧家が織りなす空間の中で、過去と現在がゆるやかにつながっていることを実感できました。歴史に興味のある方はもちろん、ゆったりとした時間を過ごしたい方にもおすすめの公園です。 旅程 東京 ↓(スクーター) 石神井公園 ↓(徒歩) 稲荷諏訪神社(練馬区) ↓(徒歩) 池淵史跡公園 ↓(徒歩) 石神井氷川神社 ↓(スクーター) 東京 関連イベント 周辺のスポット 石神井公園 牧野記念庭園 記念館 地域の名物 関連スポット リンク 池淵遺跡 (いけぶちいせき):練馬区公式ホームページ 池淵史跡公園 | 東京都

トトロの森:緑の匂いに包まれた小径で、静かな時間を拾い集める

コロナで遠出を控えていた時期なので、スクーターで行けて人の少ない場所を探して、所沢の「トトロの森」へ向かいました。狭山丘陵の起伏に沿って伸びる小径は、木漏れ日を受けたシダの緑がやわらかく、土の弾力が足裏に心地よく伝わります。今回は1号地を中心に歩きましたが、入口の木製の階段から森へ踏み入れると、ふっと空気の温度が下がって、都会の音が遠のいていくのがわかりました。途中には腰をおろせるベンチや東屋が点在し、ひと息つきながら、葉擦れや鳥の声に耳を澄ませる散策になりました。 「トトロの森」は、東京と埼玉にまたがる狭山丘陵の雑木林を、市民の寄付で土地を取得して守る“ナショナル・トラスト”の取り組みで保全している場所です。映画の舞台モデルのひとつとして知られる丘陵地で、いまも里山の景観と生きもののにぎわいが息づいています。こうした保全活動は1990年に始まり、翌1991年に最初の保全地「1号地」が誕生しました。そこから少しずつ範囲が広がり、近年では保全地は60を超え、2025年には66カ所に達したことが伝えられています。 森歩きは気持ちのいいものですが、ここには「撮っていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ」という合言葉があります。生きものや植物を傷つけないこと、私有地に立ち入らないこと、出したゴミは持ち帰ること。そんな基本のマナーを胸に、ゆっくりと歩幅を合わせれば、森の方がこちらの呼吸に寄り添ってくれる気がします。 1号地の小径は整備が行き届き、雨の後でも歩きやすい段差や手入れされた足元が続きます。少し登ると葉の陰に風の道ができ、時折ひらひらと舞うチョウや、幹のざらりとした手触りが、日常と非日常の境目を教えてくれました。休憩所の木のベンチに座って水を飲むだけの時間が、どこか贅沢に思えるのは、森が静けさの価値を思い出させてくれるからなのだと思います。 あの頃は遠くへ行けない日常でしたが、近くの森に救われる午後が確かにありました。トトロの森の小径をあとにするとき、守られてきた景色の連なりの中に自分も一瞬だけ居合わせたのだと感じます。保全の歴史が積み重ねてきた静けさに身を置く体験は、賑やかさが戻った今も、変わらず沁みるものでした。 旅程 東京 ↓(スクーター) トトロの森 ↓(徒歩) 堀口天満天神社 ↓(スクーター) 東京 関連イベント 周辺のスポット 狭山自然公園 地域の名物 ...

真間山弘法寺:真間の細道を抜けると、伝説がひらく

市川・真間の地に息づく伝説と静けさをたどりました。千葉街道近くのパーキングにスクーターを置き、真間の継橋を抜けて真間山弘法寺(ままさん ぐほうじ)へ向かいます。コロナ禍で“密を避けて動く”感覚が身体に残っているのか、今日も公共交通を避けたスクーター移動の延長で、住宅地の中に潜む古い景観を探す小さな散策になりました。 継橋のあたりはごく普通の街並みですが、右手に細い参道が現れ、奥へ進むと視界がふっと開けます。そこに佇むのが弘法寺手児奈霊神堂です。 池の水面には広い葉が静かに浮かび、季節の名残りを映していました。 ここ真間には、万葉集にも詠まれた「手児奈(てこな)」の伝説が伝わり、歌枕として多くの詩歌に登場します。旅人や歌人が景を求めて訪れた土地柄は、現代の住宅地に包まれながらも、霊神堂の前で不思議と輪郭を取り戻していくように感じられました。 霊神堂から継橋の道へ戻り、いよいよ弘法寺の本堂へ。参道の先に、やや多めの石段が待っています。段をひとつずつ踏みしめていくと、門前の喧騒は背中に遠のき、境内の空気が次第に濃くなっていきます。 仁王門をくぐると、力強い守護の気配に背筋が伸びました。本堂では静かに手を合わせ、短い旅の無事と、この土地の歴史を今に繋いできた人びとへの感謝を祈りました。 弘法寺の山号「真間山」が示すように、寺と地域の縁は古く、真間一帯の伝承や景観と重なり合って育まれてきました。江戸の頃には、真間は行楽や物見遊山の対象にもなり、和歌や俳諧に詠み込まれて親しまれたといいます。そうした時間の堆積が、霊神堂の池に浮かぶ葉陰や、石段を上りきったときにふっと感じる澄んだ気配となって、今も参拝者を迎えてくれるのでしょう。 観光名所として大仰に飾り立てるのではなく、生活の風景の延長に息づく古い記憶。真間の継橋から霊神堂、本堂へと歩を進めるわずかな移動の中に、伝説と信仰、そして日常が穏やかに重なっていました。帰り際に振り返ると、仁王門の向こうに市川の住宅地が広がり、その境目の曖昧さがむしろ心地よく感じられました。静かな午後、短い滞在でしたが、歌の里に残る水音と葉擦れの気配が、帰路のヘルメット越しにも長く耳に残りました。 旅程 (略) ↓(徒歩) 玉泉山 安国院 ↓(徒歩) 真間の継橋 ↓(徒歩) 弘法寺 ↓(スクーター) 都内 周辺のスポット 真間の継橋 リンク 真間山弘法寺...