バスツアーで祖谷・大歩危を巡る途中、道の駅大歩危に併設された「妖怪屋敷」に立ち寄りました。平家屋敷や小便小僧、かずら橋、大歩危小歩危の渓谷などはよく知られていますが、妖怪屋敷は旅程表で見つけるまで存在を知りませんでした。調べてみると、この一帯は子泣き爺の故郷とされ、祖谷や吉野川流域に古くから伝わる山の怪異譚が今も土地の記憶として息づいているのだそうです。 館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが子泣き爺の像でした。抱き上げるとどんどん重くなるという話は、険しい山道が生活の場だった過去の体験と重なります。中には、四国では「エンコ」とも呼ばれる河童、そして冥界の裁きで知られる閻魔大王、山の主のように描かれる天狗の像が並び、山と川に囲まれた祖谷の風土から自然に生まれた想像力を感じました。 展示には、水木しげるさんの色紙も掲げられており、民間伝承が現代のポップカルチャーへ橋渡しされてきたことを静かに物語っています。 思えば、祖谷に隠れ住んだとされる平家落人の伝承や、葛で編んだ橋を渡る日常の知恵は、厳しい地形と共生してきた人々の歴史そのものです。吉野川が削った断崖を見上げ、小便小僧の像が立つ谷をのぞき込むと、夜道に潜む気配を妖怪の姿に見立てて語り合った昔の暮らしが少しだけ想像できます。妖怪屋敷は恐がらせるための施設ではなく、地域に伝わる物語を「目に見える形」にして、旅人が土地の記憶に触れられる小さな資料館でした。 渓谷の風がまだ冷たい季節、バスの窓から岩肌を眺めつつ、子泣き爺やエンコの物語がこの風景の中で生まれ、語り継がれてきたのだと実感しました。名所を結ぶ旅路の途中で、土地の「声」を聞くことができる場所に出会えたのは、今回の大きな収穫でした。 旅程 阿波池田駅 ↓(バス) 阿波池田バスターミナル ↓(バス) 平家屋敷 ↓(バス) 郷土料理の昼食 ↓(バス) 祖谷のかずら橋 ↓(バス) 祖谷渓の小便小僧 ↓(バス) 道の駅大歩危 / 妖怪屋敷 ↓(バス) 大歩危峡船下り ↓(バス) 阿波池田駅 周辺のスポット 大歩危峡船下り 平家屋敷 地域の名物 祖谷そば リンク 妖怪屋敷と石の博物館 | 徳島県観光情報サイト阿波ナビ 道の駅大歩危 妖怪屋敷と石の博物館 | 大歩危祖谷ナビ<三好市公式観光サイト> 施設案内 | 道の駅大歩危 妖怪屋敷 妖怪屋敷 | にし阿波コンテンツ | に...