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9月, 2021の投稿を表示しています

赤羽自然観察公園:旧家が語る、まちの歴史と自然の記憶

コロナ禍で遠出が難しい日々が続いていますが、本日は東京都北区の赤羽自然観察公園を訪れました。天気は晴れ。気分転換も兼ねてスクーターで出かけられる範囲で、これまで訪れたことのない赤羽エリアに足を伸ばしてみることにしました。 普段、どうしても運動不足になりがちなので、広めの公園を探していたところ、地図で見つけたのが赤羽自然観察公園です。公園の名前の通り、園内には池が広がり、木々が豊かに茂っています。鳥のさえずりや木漏れ日が心地よく、都会の中とは思えないほど自然を感じることができました。 この公園の魅力は、自然だけにとどまりません。なんと、園内には江戸時代後期の旧家・松澤家住宅が移築保存されているのです。茅葺屋根の古民家がそっとたたずむ様子は、まるで時代をさかのぼったかのような気持ちにさせてくれます。松澤家住宅は、もともと北区赤羽にあった農家で、江戸時代後期に建てられたものだそうです。公園の自然とともに、地域の歴史や文化にも触れられるのは嬉しいポイントです。 都心からさほど離れていない場所で、豊かな自然と歴史を同時に味わえる赤羽自然観察公園。散策の合間に池のほとりでのんびりしたり、旧家のたたずまいに思いをはせたり、思い思いに過ごすことができました。何気ない日常の中で、身近な場所にこんな贅沢な空間があるのだと気づかされた一日でした。 旅程 東京 ↓(スクーター) 赤羽自然観察公園 ↓(スクーター) 東京 関連イベント 周辺のスポット 地域の名物 関連スポット リンク 赤羽自然観察公園 - 北区・赤羽地区 赤羽自然観察公園|東京都北区

縁切榎:路地にひそむ祈り—板橋宿で「切」と「結」を想う

中山道の板橋宿を歩いたとき、路地の切れ目にふっと現れる小さな祠と大きな榎に惹かれて足を止めました。そこが「縁切榎(えんきりえのき)」です。境内は建物の合間にすっぽりとおさまり、風に揺れる葉の音だけが街の喧騒から切り離してくれるようでした。目に入ってくるのは、所狭しとかかった絵馬の数々。願いごとの重みを感じつつも、私は切りたい「縁」があるわけではなかったので、その日は手を合わせず、ただ静かに眺めるだけにしました。 帰ってから由来を調べてみると、ここは江戸時代から板橋宿の名所として知られ、男女の悪縁を断つほか、断酒など「悪癖」を絶ちたい人々が願をかけた場所だと分かりました。現在は「悪縁は断ち、良縁は結ぶ」場として信仰され、境内に奉納された絵馬の多さにも合点がいきます。 名前の由来にも江戸らしい言葉遊びがあります。近隣の旗本屋敷の垣に、榎(えのき)と槻=けやき(つき)が並んでいたことから「えのき・つき」と呼ばれ、それが「えんつき(縁尽き)」へ、さらに「縁切り」へと転じて広まったと伝わります。いま境内に立つ木は三代目で、長い時間を経て信仰が受け継がれてきたことを物語っていました。 歴史の逸話も面白く、文久元年(1861年)に皇女和宮が十四代将軍・徳川家茂へ降嫁する道中、この「縁切り」にあやかるのを避けるため、行列はここを迂回したと伝わります。婚礼の一行がわざわざ道を変えたという話は、当時の人々がこの場に抱いた畏れと信心の深さをよく伝えています。 私自身はその場で手を合わせませんでしたが、「悪縁を断ってこそ、良縁が結ばれる」という考え方に触れると、あの日ひとことでも日々の煩わしさを手放す願いを託しておけばよかったかもしれない、と少しだけ思います。中山道の宿場の歴史が息づく一角で、過去と現在の祈りが折り重なっている――そんな感覚を味わいました。 ちなみに、板橋駅前の広場には「むすびのけやき」と呼ばれるケヤキがあり、縁切榎で悪縁を断ったあと、こちらでおみくじを結んで開運や良縁を願うという“切って結ぶ”巡りが地元で案内されています。宿場町の面影をたどりながら、心の区切りと新しい出会いの始まりを同時に願えるのは、板橋ならではの楽しみ方だと感じました。 最後に場所の印象をもう一度。商店街の角にぽっかり開いた小さな社と、空を支えるように枝を伸ばす榎。行き交う人の生活のすぐ脇に、静かな祈り...