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11月, 2004の投稿を表示しています

万里の長城(八達嶺長城):山の稜線をたどる旅、急な坂と緩やかな坂

中国・北京のバスツアーに参加し、紫禁城(故宮博物院)の重厚な歴史を堪能した後、かの有名な万里の長城、八達嶺長城へと向かいました。晩秋の澄み切った空気のなか、バスは市街地を離れ、山々の中へと進んでいきます。車窓からの景色がだんだんと壮大になり、遠くに長城が連なる姿が見えたとき、何とも言えない高揚感を覚えました。 八達嶺長城に到着すると、すぐに小高い山の上へと続く長城の「頂上」が目に飛び込んできます。ガイドさんの説明によれば、左側には勾配の急な「男坂」、右側には比較的ゆるやかな「女坂」があるそうです。どちらを登っても構いません、という言葉に、せっかくなので両方の坂を味わってみようと決めました。時間を半分ずつ割り振り、まずは男坂へと挑みます。 男坂は予想以上に急勾配で、一段一段が高く、すぐに息が切れてしまいました。体力に自信があるつもりでしたが、想像以上の厳しさに、思ったほど先まで進むことができず、途中で引き返すことになりました。それでも、振り返ったときに見えた長城の壮大な風景は圧巻で、遥か昔の兵士たちがここを行き来したことを思うと、感慨深いものがありました。 次に女坂へと向かいます。男坂の後なので「これくらいなら楽勝だろう」と思っていたのですが、こちらも油断できません。坂自体は緩やかなものの、既に足がふらふらで、同じバスツアーのガイドさんも途中で立ち止まりながら登っていました。思わず追い抜いてしまうほどでしたが、お互いに笑い合いながら坂を登ったのも、良い思い出です。 八達嶺長城は明の時代に築かれた区間で、観光地として整備されてはいるものの、その圧倒的なスケールや、周囲の山々と一体となった景観は、まさに中国の歴史の重みを感じさせます。万里の長城という名前の通り、遥か彼方まで続く石造りの壁に、かつてここを守った人々の思いや、時代を超えた壮大な物語を重ねずにはいられませんでした。 帰りのバスに揺られながら、長城の上で味わった息切れや達成感、そして自分の足で歴史の一端に触れた実感が、心地よい疲労感とともに胸に残りました。今でもあの時の山々と、長城の果てしない姿が、鮮やかに心に蘇ります。 旅程 ホテル ↓(バス/ツアー) 紫禁城/故宮博物院 ↓(バス/ツアー) 万里の長城(八達嶺長城) ↓(バス/ツアー) ホテル 関連イベント 周辺のスポット 地域の名物 関連スポット リンク 八...

紫禁城/故宮博物院:皇帝たちの残響が響く、歴史が眠る宮殿、中国五千年の縮図

本日は、現地の日本人向けのツアーで紫禁城(しきんじょう)に来ました。 北京の中心にそびえる紫禁城。この壮麗な宮殿はかつて、明・清の皇帝たちが政を行い、暮らした地でした。そしてその紫禁城こそが、いまや世界最大級の博物館「故宮博物院」として新たな命を得ています。門をくぐった瞬間、500年にわたる歴史と、中国文明の重厚さが静かに、しかし確かに訪れる者を包み込むのです。 故宮博物院は1925年、清朝最後の皇帝・宣統帝(溥儀)が紫禁城を離れた翌年に設立されました。それまで禁中と呼ばれ、皇帝以外の者の立ち入りを許さなかった空間が、一般に開かれたのです。以来、数多くの文化財がこの地に集められ、その数は現在では180万点を超えるといわれています。 展示されている品々は、まさに中国文化の精華です。書や絵画、陶磁器や青銅器、皇帝の衣装や調度品にいたるまで、ひとつひとつが過去の時を静かに語りかけてきます。例えば、宋代の書画には繊細な筆致と精神性がにじみ出ており、眺めるだけで深い余韻が残ります。また、明・清の精巧な陶磁器は、まるで時代そのものが焼き付けられているかのような存在感を放っています。 しかし、故宮博物院が他の博物館と大きく異なるのは、その建物自体が最大の展示品であるという点です。太和殿をはじめとする堂々たる宮殿群は、風水や陰陽五行といった古代中国の思想を反映して綿密に配置されており、その荘厳な空間に身を置くだけでも、歴史と一体になるような感覚が味わえます。床の石ひとつ、屋根の瑠璃瓦一枚にも、皇帝の威光と職人たちの技術が宿っているのです。 現代の故宮博物院は、過去の栄華をただ保存するだけの場所ではありません。人気を博している文創グッズの販売などを通して、新たな世代との接点を模索しています。こうした動きは、古いものを単に懐かしむのではなく、未来に向けてどう語り継いでいくかという問いへの挑戦にも見えます。 かつての皇帝たちの時間が流れていたこの場所には、今も確かに、時間の層が幾重にも重なっています。石畳の上を歩くとき、その一歩一歩が歴史を踏みしめているように感じられるのです。北京を訪れるなら、ぜひ一度、故宮博物院の門をくぐってみてください。過去と現在、そして未来が交錯する、特別な体験が待っています。 義和団事件 19世紀末の中国は、まさに外からの圧力と内からの動揺が渦巻く時代でした。列...

天安門広場:国家と民衆の記憶が刻まれた広場、語られざる歴史の重み

仕事で南京に来たついでに北京に来ました。明日の現地ツアーを予約した後、少し時間が余ったので天安門広場に来ました。 北京の中心に広がる天安門広場は、ただの都市空間ではありません。ここは中国の近現代史が幾度となく交差してきた、まさに「歴史の交差点」ともいえる場所です。北には天安門がそびえ、毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言したあの象徴的な門が、今も変わらぬ姿で広場を見下ろしています。 広場の広さは実に44万平方メートルとされ、世界でも最大級の規模を誇ります。広場の中央には人民英雄記念碑が堂々と立ち、中国近代に命を捧げた無数の人々の魂を静かに称えています。その南には、毛沢東の遺体が安置されている毛主席紀念堂があり、今なお国内外からの訪問者が絶えません。 西側には人民大会堂があり、ここでは全国人民代表大会など国家の重要な会議が開かれます。一方、東側には中国国家博物館が広がり、数千年にわたる中国文明の足跡を丁寧に伝えています。どの建物も、単なる建築物にとどまらず、それぞれが中国の歴史や権威、文化を象徴する存在となっています。 天安門広場では、建国記念日や軍事パレード、重要な政治行事が盛大に行われる一方で、忘れてはならない1989年の出来事もあります。あの年、民主化を求めて集まった学生や市民たちの訴えは、最後には武力によって封じられることとなりました。この「天安門事件」は現在の中国では公に語ることができず、記憶の扱い方そのものが政治的な意味を持っています。 それでも毎朝、日の出とともに行われる国旗掲揚式には多くの人々が集まり、荘厳な雰囲気の中で国家を思う時を過ごしています。観光地としての顔と、政治の中枢としての顔。その二面性こそが、天安門広場を特別な場所にしているのです。 広場を歩いていると、ふとした瞬間に歴史の重みが足元から伝わってくるような気がします。過去と現在が幾重にも折り重なり、そして未来へとつながっていく――天安門広場は、そんな時間の流れを体感できる数少ない場所のひとつです。 旅程 ホテル ↓(地下鉄/徒歩) 天安門広場 ↓(地下鉄/徒歩) ホテル 関連イベント 周辺のスポット 紫禁城/故宮博物院 頤和園 盧溝橋 地域の名物 北京料理/北京ダック 関連スポット リンク