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仏光山極楽寺:港町・基隆で見つけた静かな寄り道

当時台北市に住んでいた私は、週末の小旅行として基隆を歩いていました。午前から基隆中正公園を回り、港町らしい湿った空気と起伏のある街並みを楽しみながら、次は基隆廟口夜市へ向かうつもりでした。その途中で立ち寄ったのが、仏光山極楽寺です。 坂に沿って寺へ近づくと、まず目に入ったのは階段の先に構える山門でした。門まわりの石材(あるいは石調の外装)がよく磨かれていて、周囲の建物や空の明るさを薄く反射し、雨の多い基隆の街にあって妙に“乾いた光”をまとって見えたのが印象的でした。寺院というと静けさを想像しますが、ここは街の生活圏のすぐそばにあり、日常の動線の中に、ふっと心が落ち着く入口が差し込まれているようでした。 境内へ入り堂内をのぞくと、金色の仏像が迎えてくれます。金色の肌の輝きだけでなく、瞳の黒がはっきりしていたり、口元がわずかに紅を差したように見えたりして、「同じ仏像でも、日本で見慣れた表情とは少し違う」と感じました。造形の差というより、参拝者に向けて“生きた表情”を強く意識しているような、近さがあります。旅先で寺院に入るとき特有の、音がすっと遠のく感覚がそこでいっそう深まり、短い滞在でも気持ちが整っていくのが分かりました。 調べてみると、極楽寺は基隆市中心部の信義区に位置し、文化・教育活動も含む多機能な道場として紹介されています。山勢に沿って建てられ、金色の屋根瓦が日差しを受けてきらめくこと、そして多雨の季節には「法水が広く行き渡る」かのように感じられる、という表現まであり、この街の気候と寺の佇まいが結びついて語られているのが面白いところです。 また歴史の面では、前身にあたる「光尊寺」が清の光緒31年(1905年)に創建され、その後に仏光山が引き受け、1991年に再建が完成したとされています。古い宗教空間が、時代の変化の中で役割や姿を更新しつつ、街の中心に残っている——旅の途中でふと寄った一寺院が、そんな時間の厚みを背負っていることに気づくと、見え方が少し変わってきます。 一通り見学した後は、当初の予定通り基隆廟口夜市へ向かいました。寺の静けさを背に階段を下り、再び街の音へ戻っていくと、今度は湯気や人いきれの気配が近づいてきます。にぎやかな夜市に溶け込む直前に、少しだけ心を鎮める場所が挟まっていたことが、この日の基隆観光をいっそう立体的にしてくれた気がしました。 旅程 ...