パレルモ滞在3日目、念願のマッシモ劇場に足を運びました。シチリア最大の都市パレルモの象徴ともいえるこの劇場は、ゴッドファーザー PART IIIの重要な舞台としても有名で、パレルモを訪れるなら絶対に外せない場所だと心に決めていました。 マッシモ劇場の正面に立つと、その堂々としたネオクラシック様式のファサードが青空に映え、まさに「威風堂々」という言葉がふさわしい姿に圧倒されました。イタリア国内でも屈指の規模を誇るオペラハウスであり、ヨーロッパ全体でも6番目の大きさだそうです。劇場の建設は19世紀末、イタリア統一後の活気に満ちた時代に始まりました。設計は建築家ジョヴァンニ・バッティスタ・フィリッポ・バジーレによって進められ、1897年に完成。その後100年以上にわたり、オペラやバレエ、演劇などの芸術が上演され続けています。 この日は公演は見ませんでしたが、内部を見学できるガイドツアーに参加しました。中に足を踏み入れると、天井のフレスコ画や豪華な装飾、黄金色に輝く欄干が目に飛び込んできて、映画で見た華やかな世界そのままの空間が広がっていました。5階か6階ほどまである客席は螺旋状に並び、歴史あるヨーロッパのオペラハウスの風格を存分に感じられます。意外だったのは、舞台の奥行きや広さです。舞台に立つと、客席部分よりもむしろ舞台裏の方が大きく感じられ、舞台芸術へのこだわりが伺えました。客席自体は思ったよりもコンパクトで、観客一人ひとりに舞台の息遣いが間近に伝わるような設計になっているのでしょう。(当時のカメラでは、暗い舞台ではまともな写真が残っていませんでした。) 劇場の内部を歩きながら、20年前の自分(2025年に書いています)が「いつか正装してここでオペラを観る日が来るだろうか」と想像したことを思い出します。あれから年月が流れ、まだその夢は実現していませんが、あのときの憧れや高揚感は今でも色褪せることがありません。観光として訪れるだけでなく、現地の文化を深く味わうきっかけをくれる場所が、パレルモのマッシモ劇場なのだと改めて感じました。 映画や歴史だけでなく、自分のこれからの夢や人生にも静かに語りかけてくれるような特別な時間を過ごすことができたひとときでした。 旅程 (略) ↓(徒歩) Teatro Politeama Garibaldi ↓(徒歩) マッシモ劇場 ↓(徒歩) ...