春の福島県会津若松を訪れたこの日、私は朝から歴史や文化に触れる旅を楽しんでいました。野口英世記念館で偉人の足跡をたどり、会津武家屋敷で武家文化に思いを馳せた後、次に足を運んだのが御薬園(おやくえん)でした。
御薬園の門をくぐると、まず目に入るのは整えられた日本庭園の美しさです。池の水面に映る新緑、丁寧に手入れされた植栽、そして園内を吹き抜ける春のやわらかな風――しばし日常を忘れ、心が穏やかになる瞬間でした。この庭園は、会津藩主が心身を癒やすために造られたとされ、その設計には武家の美意識と静寂への憧れが感じられます。
御薬園が特別なのは、単なる観賞用の庭園で終わらないところです。園内には多種多様な薬草が育てられており、かつては藩の薬草園として医療や調薬に使われてきた歴史があります。小道を歩きながら名札のついた薬草の数々を眺めていると、先人たちが自然の恵みをいかに活用していたのか、改めてその知恵に感心しました。
歴史的な建物も御薬園の魅力のひとつです。重陽閣や御茶屋御殿、楽寿亭などが静かに佇んでおり、いずれも往時の会津藩の格式や文化を今に伝えています。とりわけ重陽閣は、藩主の休憩や賓客のもてなしに使われた由緒ある建物で、内部から眺める庭園の景色も格別でした。また、園内の茶屋では抹茶をいただくこともでき、旅の疲れを癒やすひとときとなりました。
御薬園を歩きながら感じたのは、ここが単なる観光地ではなく、歴史と自然、そして人々の暮らしが深く結びついている場所だということです。会津の歴史を感じ、薬草の知恵に触れ、美しい庭園に心洗われる――そんな贅沢な時間を過ごすことができました。旅の途中にふと立ち寄るだけでも、きっと忘れがたい思い出となる場所だと感じます。
旅程
東京
↓(新幹線/JR磐越西線)
猪苗代駅
↓(タクシー)
↓(タクシー)
会津武家屋敷
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
阿弥陀寺
↓(徒歩)
会津若松駅
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