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池淵史跡公園:練馬の片隅で出会う日本の原風景と明治の古民家

本日、晴れやかな空の下、東京都練馬区にある池淵史跡公園を訪れました。この日はまず石神井公園を散策し、その足で隣接する池淵史跡公園にも立ち寄りました。 池淵史跡公園は、旧石器時代や縄文時代、さらに中世にまでさかのぼる遺跡が発見された歴史ある場所です。かつてこの地でどのような暮らしが営まれていたのか、想像が膨らみます。現在は整備された公園となっており、地域の人々の憩いの場となっていますが、その歴史の重みを感じながら歩くと、日常の風景にもどこか特別な趣が加わります。 園内でひときわ目を引くのが、明治時代の茅葺屋根の旧家である旧内田家住宅です。この住宅はもともと他の場所にあったものが移築されたもので、当時の暮らしぶりを今に伝える貴重な建物となっています。茅葺の屋根や広々とした土間、木のぬくもりが感じられる室内は、現代の住宅とはまったく異なる雰囲気で、時代を超えて受け継がれてきた日本の生活文化を肌で感じることができました。 旧内田家住宅の内部も見学することができ、座敷や台所、そして当時の生活道具の数々が展示されていました。建物の中を歩きながら、明治時代の人々がここでどのような日々を過ごしていたのか、静かな時間の流れを感じることができ、非常に貴重な体験となりました。 池淵史跡公園は、単なる公園としての魅力だけでなく、遠い昔から現代までの歴史が静かに息づく場所です。古代から続く土地の記憶と、明治時代の旧家が織りなす空間の中で、過去と現在がゆるやかにつながっていることを実感できました。歴史に興味のある方はもちろん、ゆったりとした時間を過ごしたい方にもおすすめの公園です。 旅程 東京 ↓(スクーター) 石神井公園 ↓(徒歩) 稲荷諏訪神社(練馬区) ↓(徒歩) 池淵史跡公園 ↓(徒歩) 石神井氷川神社 ↓(スクーター) 東京 関連イベント 周辺のスポット 石神井公園 牧野記念庭園 記念館 地域の名物 関連スポット リンク 池淵遺跡 (いけぶちいせき):練馬区公式ホームページ 池淵史跡公園 | 東京都

トトロの森:緑の匂いに包まれた小径で、静かな時間を拾い集める

コロナで遠出を控えていた時期なので、スクーターで行けて人の少ない場所を探して、所沢の「トトロの森」へ向かいました。狭山丘陵の起伏に沿って伸びる小径は、木漏れ日を受けたシダの緑がやわらかく、土の弾力が足裏に心地よく伝わります。今回は1号地を中心に歩きましたが、入口の木製の階段から森へ踏み入れると、ふっと空気の温度が下がって、都会の音が遠のいていくのがわかりました。途中には腰をおろせるベンチや東屋が点在し、ひと息つきながら、葉擦れや鳥の声に耳を澄ませる散策になりました。 「トトロの森」は、東京と埼玉にまたがる狭山丘陵の雑木林を、市民の寄付で土地を取得して守る“ナショナル・トラスト”の取り組みで保全している場所です。映画の舞台モデルのひとつとして知られる丘陵地で、いまも里山の景観と生きもののにぎわいが息づいています。こうした保全活動は1990年に始まり、翌1991年に最初の保全地「1号地」が誕生しました。そこから少しずつ範囲が広がり、近年では保全地は60を超え、2025年には66カ所に達したことが伝えられています。 森歩きは気持ちのいいものですが、ここには「撮っていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ」という合言葉があります。生きものや植物を傷つけないこと、私有地に立ち入らないこと、出したゴミは持ち帰ること。そんな基本のマナーを胸に、ゆっくりと歩幅を合わせれば、森の方がこちらの呼吸に寄り添ってくれる気がします。 1号地の小径は整備が行き届き、雨の後でも歩きやすい段差や手入れされた足元が続きます。少し登ると葉の陰に風の道ができ、時折ひらひらと舞うチョウや、幹のざらりとした手触りが、日常と非日常の境目を教えてくれました。休憩所の木のベンチに座って水を飲むだけの時間が、どこか贅沢に思えるのは、森が静けさの価値を思い出させてくれるからなのだと思います。 あの頃は遠くへ行けない日常でしたが、近くの森に救われる午後が確かにありました。トトロの森の小径をあとにするとき、守られてきた景色の連なりの中に自分も一瞬だけ居合わせたのだと感じます。保全の歴史が積み重ねてきた静けさに身を置く体験は、賑やかさが戻った今も、変わらず沁みるものでした。 旅程 東京 ↓(スクーター) トトロの森 ↓(徒歩) 堀口天満天神社 ↓(スクーター) 東京 関連イベント 周辺のスポット 狭山自然公園 地域の名物 ...

真間山弘法寺:真間の細道を抜けると、伝説がひらく

市川・真間の地に息づく伝説と静けさをたどりました。千葉街道近くのパーキングにスクーターを置き、真間の継橋を抜けて真間山弘法寺(ままさん ぐほうじ)へ向かいます。コロナ禍で“密を避けて動く”感覚が身体に残っているのか、今日も公共交通を避けたスクーター移動の延長で、住宅地の中に潜む古い景観を探す小さな散策になりました。 継橋のあたりはごく普通の街並みですが、右手に細い参道が現れ、奥へ進むと視界がふっと開けます。そこに佇むのが弘法寺手児奈霊神堂です。 池の水面には広い葉が静かに浮かび、季節の名残りを映していました。 ここ真間には、万葉集にも詠まれた「手児奈(てこな)」の伝説が伝わり、歌枕として多くの詩歌に登場します。旅人や歌人が景を求めて訪れた土地柄は、現代の住宅地に包まれながらも、霊神堂の前で不思議と輪郭を取り戻していくように感じられました。 霊神堂から継橋の道へ戻り、いよいよ弘法寺の本堂へ。参道の先に、やや多めの石段が待っています。段をひとつずつ踏みしめていくと、門前の喧騒は背中に遠のき、境内の空気が次第に濃くなっていきます。 仁王門をくぐると、力強い守護の気配に背筋が伸びました。本堂では静かに手を合わせ、短い旅の無事と、この土地の歴史を今に繋いできた人びとへの感謝を祈りました。 弘法寺の山号「真間山」が示すように、寺と地域の縁は古く、真間一帯の伝承や景観と重なり合って育まれてきました。江戸の頃には、真間は行楽や物見遊山の対象にもなり、和歌や俳諧に詠み込まれて親しまれたといいます。そうした時間の堆積が、霊神堂の池に浮かぶ葉陰や、石段を上りきったときにふっと感じる澄んだ気配となって、今も参拝者を迎えてくれるのでしょう。 観光名所として大仰に飾り立てるのではなく、生活の風景の延長に息づく古い記憶。真間の継橋から霊神堂、本堂へと歩を進めるわずかな移動の中に、伝説と信仰、そして日常が穏やかに重なっていました。帰り際に振り返ると、仁王門の向こうに市川の住宅地が広がり、その境目の曖昧さがむしろ心地よく感じられました。静かな午後、短い滞在でしたが、歌の里に残る水音と葉擦れの気配が、帰路のヘルメット越しにも長く耳に残りました。 旅程 (略) ↓(徒歩) 玉泉山 安国院 ↓(徒歩) 真間の継橋 ↓(徒歩) 弘法寺 ↓(スクーター) 都内 周辺のスポット 真間の継橋 リンク 真間山弘法寺...

粟島神社:池袋のビルの谷間、イケとフクロウ

豊島区の小さな粟島神社(あわしまじんじゃ)を訪ねました。 境内はこぢんまりとしていますが、まず目に入ったのは清らかな水をたたえる池でした。案内によれば自然の湧き水で満たされているとのことで、武蔵野台地の縁に点在する湧水の名残が、町なかの祈りの場にそっと息づいているのだと実感します。ビルの谷間で水面が風にさざめくさまを眺めていると、時間がふっと緩むようでした。 社名の「淡島(粟島)」は、和歌山・加太の淡嶋神社に源流を持つ淡島信仰に通じ、女性の守護や病の平癒に霊験があるとして江戸でも勧請が広がったと伝えられます。小社ながらも、旅の安全と日々の無事を祈る人々の気持ちが積み重なってきたのでしょう。本殿に手を合わせると、境内の静けさが一層深く感じられました。 ふと見ると、フクロウの石像がこちらを見守っていました。池袋界隈でフクロウ像をよく見かけるのは、地名の「池袋」と「ふくろう(梟)」の語呂合わせから生まれた街のシンボルゆえです。駅構内の「いけふくろう」をはじめ、商店街の装飾やベンチ、モニュメントまで幅広く用いられ、〈福が来る〉〈不苦労〉といった当て字の縁起も手伝って、地域の親しみやすい守り神のような存在になっています。粟島神社のフクロウも、そんな街の文脈の中で、湧水の池とともに訪れる人をやさしく迎えているのだと感じました。 参拝を終えて振り返ると、水面に揺れる木々の影が印象に残りました。都市の喧噪から一歩離れ、湧き水と小さな社に守られた空間に立つと、江戸からつづく信仰の糸が現在の日常へと静かにつながっていることに気づきます。次に訪れるときは、季節を変えてこの池の表情をもう一度見てみたいと思いました。 旅程 椎名町駅 ↓(徒歩) 粟島神社 ↓(徒歩) 椎名町駅 周辺のスポット 豊島区立熊谷守一美術館 リンク 粟島神社|2022年7月16日|出没!アド街ック天国:テレビ東京

小平ふるさと村:グリーンロードの先の、水車がゆっくり回る、静かな歴史散歩

スクーターを小平駅で駐車し、青々とした小平グリーンロードを歩くと、街の喧騒から少しずつ離れていく感覚がありました。その先に現れるのが、小平ふるさと村です。この施設は、小平市の歴史や人々の暮らしを今に伝える屋外博物館として整備されています。本日は、よく晴れた日で、初夏の日差しが木々の緑をいっそう鮮やかに照らしていました。 門をくぐると、まず目を引いたのは茅葺屋根の大きな住宅です。江戸時代から明治時代にかけてこの地域で暮らしていた人々の家がそのまま移築されており、現代の住宅とは異なる素朴な造りや、土間、囲炉裏など、昔の暮らしの息遣いを感じることができました。屋根の大きな茅葺は、夏の強い日差しを和らげ、冬の寒さも防ぐ、昔の知恵が詰まったものであることを改めて実感します。 また、旧小平小川郵便局舎も見学しました。1908年(明治41年)に建てられた木造の郵便局舎は、現代の建物とはまるで雰囲気が違います。温もりのある木の壁や小さな窓など、かつての郵便局の様子がそのまま残されていて、地域の人々がここに集い、手紙をやりとりしていた様子が目に浮かぶようでした。 さらに敷地内には水車もありました。実際に水が流れ、木の歯車がゆっくりと回っている様子は、都会にいることを忘れさせてくれます。水車は昔の農業や製粉に欠かせないものでしたが、今やこうして動いている姿を見るだけでもどこか懐かしい気持ちになります。 現在は新型コロナウイルスの影響で、ふだん体験できる昔のおもちゃや生活道具に触れるコーナーは中止されていましたが、普段であれば子どもたちが昔遊びや木工体験など、歴史を肌で感じるプログラムも楽しめるそうです。こうした体験が再開されたときには、家族でのんびりと過ごすのにもぴったりの場所だと思います。 小平ふるさと村を歩いていると、近代から現代にかけての変化の大きさや、地域の人々が大切にしてきた暮らしの知恵に気づかされます。日常から少し離れて、過去に思いを馳せるひとときは、とても贅沢な時間でした。 旅程 東京 ↓(スクーター) 小平駅 ↓(徒歩) 小平ふるさと村 ↓(徒歩) 小平駅 関連イベント 周辺のスポット 江戸東京たてもの園 地域の名物 関連スポット リンク 小平ふるさと村 小平ふるさと村|東京都小平市公式ホームページ 小平ふるさと村/東京の観光公式サイトGO TOKYO 小平ふるさと村で...

穴八幡宮:朱の門、黒の殿、江戸の余韻

新宿区の高台に鎮座する穴八幡宮(あなはちまんぐう)にお参りしました。正面の大鳥居をくぐると、まず目に飛び込んでくるのは鮮烈な朱の隋神門です。軒の組物まで丹塗りが映え、石段を上がるほどに境内の空気が澄んでいくのを感じました。門を抜けると正面に黒塗りの拝殿が構え、落ち着いた艶のある黒と白木の対比が、静かな威厳を漂わせています。ここで一礼し、ゆっくりと参拝を済ませました。隋神門は江戸後期の建立で、戦災後に再建されたものだそうで、鮮やかな色合いの背景にそんな歴史も重なって見えます。 由緒に触れておくと、この神社は康平五年(1062)に源義家が凱旋の折、兜と太刀を納めて八幡神を祀ったのがはじまりと伝わります。のちに南側の山裾を切り開いた際、横穴から御神像が現れたという出来事にちなみ「穴八幡宮」と称されるようになりました。江戸時代には徳川家光の耳にも達し、江戸城北の総鎮護として崇敬を受け、将軍家ゆかりの行事として流鏑馬も奉納されています。境内に立つと、早稲田の街中でありながら、こうした歴史の層が静かに息づいているのを感じます。 拝殿脇を巡ると、鼓楼が目を引きました。上部の朱と下部の黒がきりりと締まり、太鼓を納める楼らしい端正さがあります。例大祭や大晦日に太鼓が鳴ると聞くと、杉木立にひびく音を想像してみたくなります。 さらに境内奥には「神武天皇陵遥拝所」の石碑が立ち、遠く奈良の橿原にある御陵へ心を向けるための場として静かに据えられていました。都市の真ん中で、大和へと視線が伸びる不思議な感覚を味わいます。 この神社といえば、冬至から節分のあいだだけ授与される「一陽来復」の御守もよく知られています。復活と転機を象徴する言葉になぞらえ、家々の恵方に貼って祀る独特の作法が受け継がれてきました。金銀融通の御守とも呼ばれ、季節が巡る時節の信仰を今に伝えています。 参拝後は隋神門を振り返り、朱と黒の濃淡のなかに江戸と近現代の記憶が重なる姿をしばし眺めました。門前の喧騒から一段上がっただけで、時間の速度が変わる——そんな感覚を与えてくれる場所でした。 旅程 家 ↓(徒歩) 肥後細川庭園 ↓(徒歩) 関口芭蕉庵 ↓(徒歩) 穴八幡宮 ↓(徒歩) 戸山公園 ↓(徒歩) 家 関連イベント 周辺のスポット 早稲田大学歴史館 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 戸山公園 地域の名物 関連スポット リンク 牛...

肥後細川庭園:江戸の風情が薫る緑の回遊路

昼の散歩に肥後細川庭園(ひごほそかわていえん)に行ってきました。 肥後細川庭園は、もともと新江戸川公園という名前だったのを2017年に改名しました。 肥後細川庭園は、江戸時代の終わりごろに肥後国(ひごのくに、現在の熊本県)の細川家の下屋敷の一つとなりました。 明治時代になると、細川家の本邸となりました。 1960年に東京都が購入し、1975年に文京区に移管されました。 肥後細川庭園は、回遊式泉水庭園で、中心の大きな池の周辺を歩きながら(回遊)、庭の景色を楽しむことができます。園内には、細川家ゆかりの銘花「肥後六花」のうち、肥後椿(ひごつばき)、肥後芍薬(ひごしゃくやく)、肥後花菖蒲(ひごはなしょうぶ)、肥後山茶花(ひごさざんか)が植えられています。「肥後六花」の残り2つは、肥後朝顔(ひごあさがお)、肥後菊(ひごぎく)です。 園内には、松聲閣(しょうせいかく)と呼ばれる建物があります。 松聲閣は、明治時代に細川家の学問所として建設されました。その後、大正時代に大改修が行われ、2階建てになり、一時期は細川家の住まいとしても使用されていました。現在の建物は、2016年(平成28年)に耐震補強されたものです。 旅程 家 ↓(徒歩) 肥後細川庭園 ↓(徒歩) 関口芭蕉庵 ↓(徒歩) 穴八幡宮 ↓(徒歩) 戸山公園 ↓(徒歩) 家 関連イベント 周辺のスポット 永青文庫 関口芭蕉庵 鳩山会館 地域の名物 関連スポット リンク 肥後細川庭園 | 文京区 肥後細川庭園 | 文京区 肥後細川庭園|一般財団法人 公園財団 肥後細川庭園 | 文京区観光協会