春の訪れを感じる3月の終わり、私は千葉県佐倉市にある佐倉武家屋敷を訪れました。雲ひとつない晴天で、風も穏やか。まさに屋外の散策にぴったりな一日でした。
佐倉は江戸時代に佐倉藩の城下町として栄え、今でもその面影を色濃く残しています。特に武家屋敷通りには、中級武士たちが暮らしていた屋敷が並び、当時の生活の様子を今に伝えています。
最初に足を踏み入れたのは、旧河原家住宅。質実剛健な武家屋敷のたたずまいに、当時の武士の生活が想像されます。屋敷の内部には、台所や鎧が展示されており、武士の日常と緊張感ある戦の備えが隣り合わせにあったことが伝わってきました。土間の広さや、火を扱う場所の工夫に、機能美が感じられます。
続いて訪れたのは旧但馬家住宅。こちらでも台所や屋敷の構造をじっくりと見学しましたが、特に印象的だったのが、復元された当世具足。黒一色で統一されたその姿は、どこか現代にも通じる洗練された美しさがあり、無駄のない造形に見入ってしまいました。戦国から江戸への移行期に発展したこの具足には、武士の美意識と実用性の両面が反映されているように感じました。
江戸時代の住宅は、現代の家屋とは異なる時間の流れを感じさせてくれます。縁側から差し込むやわらかな日差し、畳の香り、そして静けさの中に漂う歴史の重み。どれもが心を落ち着かせてくれました。
この日訪れた佐倉武家屋敷は、単なる歴史的建造物というよりも、人々の暮らしの積み重ねが息づく「記憶の空間」でした。春の陽気とともに歩くその道すがら、ふと、自分の生活を見つめ直すきっかけにもなった気がします。歴史を知ることは、過去とつながるだけでなく、今を豊かに生きるヒントをくれるのかもしれません。
旅程
(略)
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ひよどり坂
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麻賀多神社
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(略)
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佐倉城址公園
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京成佐倉駅
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