朝から武家屋敷の並ぶ町並みを歩き、石垣の影や古い長屋門に江戸の気配を感じながら、昼前に麻賀多神社(まかたじんじゃ)へ向かいました。小さなお社だから静かに手を合わせられるだろうと思っていたところ、境内には思いのほか多くの参拝客がいて、列に続きながらにぎわいに少し驚きました。佐倉の人に長く親しまれてきた神社らしい温かさが、春の空気と一緒に漂っていました。
拝殿で参拝をすませてから、しばし境内を散策しました。ここは江戸時代、佐倉藩の総鎮守として崇敬を集めた古社で、いまも城下町の中心に息づいています。 御祭神は『古事記』では和久産巣日神、『日本書紀』では稚産霊命と記される「むすび」の神さま。物事を結び育てるご神徳で知られ、子どもの成長や願いごとの成就を願う参拝者の姿が絶えません。 社の歴史は古く、千年以上前の文書にも名が見えると紹介されるほどで、境内には樹齢八百年と伝わる大銀杏もそびえ、時の流れを静かに見守っているようでした。
麻賀多という名はこの地域ならではで、印旛沼の周辺に点在する十八の麻賀多社の一つに数えられます。土地の信仰がいまも暮らしに寄り添っていることを、参道の空気から感じました。
次の目的地は佐倉城址公園です。鳥居をくぐって外に出ると、塀の外に桜色の丸い郵便ポストがちょこんと立っていました。佐倉と桜をかけた遊び心でしょうか。実はこの桜色ポスト、地元の高校生がデザインとペイントを手がけたもので、黒猫のモチーフがそっと添えられた可愛らしい一基です。もちろん現役のポストとして使えるとのこと。城址公園の春の催しに合わせて始まった取り組みで、境内脇に設置されていると知って、思わず写真を撮りました。
城下町の歴史を背負う鎮守から、桜の名所へ。静と動がほどよく溶け合うのが佐倉散歩の魅力だとあらためて感じます。参道の砂利の感触を足裏に残したまま、桜色のポストに背を押されるようにして、城址公園へ向かいました。今日は花の季節の手前、町も神社も人の往来で少し華やぎ、春の気配を確かに胸に刻む一日になりました。
旅程
東京
↓(JR総武線)
佐倉駅
↓(徒歩)
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大手門跡碑
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佐倉城址公園
↓(徒歩)
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京成佐倉駅
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