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12月, 2024の投稿を表示しています

カイディン帝廟:ベトナム最後の皇帝廟が魅せる華麗なる建築美

ティエンムー寺のあと、バスで南下しカイディン帝廟に向かいました。 カイディン帝廟(カイディン廟、Lăng Khải Định)は、ベトナム中部の古都フエ近郊に位置する、グエン(阮)朝第12代皇帝カイディン(在位1916-1925)の陵墓です。グエン朝の皇帝墓としては最後に造営されたもので、その華麗かつ独特な様式から、フエを訪れる旅行者の代表的観光名所の一つとなっています。 カイディン帝はフランス植民地統治時代の皇帝であり、ベトナム伝統文化と西洋様式の影響を大きく受けました。その結果、帝廟は1920年から1931年にかけて11年の歳月をかけて建設され、西洋と東洋、さらにはベトナム伝統様式を融合した独特な建築美を生み出しました。 カイディン帝廟は、フエ市中心部から約10kmほど離れたチョウチュ山(Châu Chữ)の斜面に建てられています。規模自体は他のグエン朝皇帝陵(ミンマン帝廟、トゥドゥック帝廟など)に比べて小振りですが、その分、内部装飾は非常に緻密で豪華です。 カイディン帝廟は、中国やベトナム伝統の宮廷建築様式に加え、フランスのコロニアル建築やバロック・ロココ風の要素など、東西が入り混じった唯一無二のデザインとなっています。 内部には陶磁器片やガラス片を用いて壁面や天井に精巧なモザイクが施され、カラフルなドラゴンや伝統的紋様が浮かび上がります。こうした緻密な装飾は、職人たちの高度な技術を物語っています。 廟の中心建築物は「天鼎宮(Điện Khải Thành)」と呼ばれ、カイディン帝の玉座が安置されています。また、ここには皇帝のブロンズ像や彼を模したレリーフ彫刻などがあり、内部装飾は息をのむほど豪奢です。 陵墓へのアプローチには層状に高くそびえる石の階段があり、その途中には文武官や動物像(象・馬など)が整然と並び、皇帝を守護するかのような厳粛な雰囲気を醸し出します。 内部壁面に施されたモザイクは、陶磁器やガラスが細分化され、鮮やかな色彩と複雑な文様を形作っています。陽光を受けて輝くその細工は、他の皇帝陵には見られない芸術性の高さが特徴です。 壁に使われているガラスや陶器は、瓶や食器を再利用したもので、日本のサクラビールの瓶も使用されています。 カイディン帝廟は、フエの歴史的建造物群とともに世界文化遺産として評価されています。その独創的な美術装飾と、近代ベトナム史...

ティエンムー寺:香りの川と七層の塔

阮朝王宮(グエンちょうおうきゅう)のあと、ティエンムー寺にバスで向かいました。 ティエンムー寺(Thiên Mụ Pagoda、天母寺とも表記)は、ベトナム中部フエ(Huế)近郊、フーン川(香河、Hương River)沿いに位置する歴史的な仏教寺院で、フエを訪れる観光客にとって非常に有名なスポットのひとつです。 ティエンムー寺は1601年、グエン氏(阮氏)の初代藩主であるグエン・ホアン(阮潢)によって創建されました。当時、この地には「天から遣わされた母神が訪れ、国の安寧と繁栄を告げる」という伝説があり、そこから「天母(ティエンムー)」の名が由来したと言われています。 その後、阮朝(1802~1945年)時代にかけて、ティエンムー寺は王家の保護を受けながら増改築が進められ、フエの仏教文化や精神生活の中心的存在となりました。 境内のシンボルである「フエの塔(Phước Duyên tower、テュ・ドゥック塔とも)」は高さ約21メートル、八角形の7層構造で、1844年に建てられました。この塔はフエのランドマークとしても知られ、境内に入る前から香河の対岸からも美しくそびえ立つ姿を望むことができます。 塔の背後には本堂や僧房、美しい庭園が広がっており、敷地内には多くの仏像や歴史的遺物が点在しています。特に、静かで穏やかな雰囲気は訪れる人々に安寧を与え、フエならではの閑寂な風情を感じることができます。 1960年代には、ティエンムー寺は仏教徒による政治的・社会的抗議の拠点にもなりました。当時の南ベトナム政権による仏教弾圧に抗議する僧侶達が集まった場所として、国際的な注目を集めました。また、1963年に首都サイゴン(現ホーチミン市)で焼身自殺を行ったティック・クアン・ドック(Thích Quảng Đức)師の乗っていた自動車が、ティエンムー寺内に展示されています。 寺院を訪れる際は、過度に露出のある服装を避け、静粛な態度で参拝することが望まれます。また、写真撮影は基本的に自由ですが、僧侶や他の参拝者の迷惑にならないよう配慮が必要です。 ティエンムー寺は、ベトナムの歴史・文化・精神性を体感できる貴重な場所であり、その美しい建築やフエ独特の静寂な風景、さらにはベトナム近代史における象徴的な出来事とのゆかりなど、多面的な魅力を秘めています。フエを訪れる際は、ぜひ足を運んでみること...

阮朝王宮:ベトナム最後の王朝、阮朝王宮の魅力

本日はフエ観光の日で、6:30という早朝にホテルのロビーに集合し、ダナン駅までバスで向かい、そこから観光列車に乗ってフエまで移動しました。並行して、バスもフエに移動しており、フエで同じバスに乗り込み、昼食を取るためレストランに移動しました。昼食は宮廷料理でした。 その後、バスで阮朝王宮(グエンちょうおうきゅう)に向かいました。 ベトナム中部のフエ市にそびえる阮朝王宮。この壮大な建築物は、ベトナム最後の王朝である阮朝(1802年–1945年)の中心地として栄えました。歴史と文化の融合が見られるこの場所は、現在も多くの人々を魅了しています。 阮朝王宮の建設は、初代皇帝である嘉隆帝(ザー・ロン帝)の時代に始まりました。1804年に着工され、約27年という長い年月をかけて完成しました。この宮殿は、中国の紫禁城をモデルにして設計されており、広大な敷地内に行政機関や皇帝の住居、宗教施設が配置されています。王宮全体が風水の理念に基づき、慎重に計画されている点も特筆に値します。 王宮の敷地は、外郭城(フン城)、皇城、紫禁城の三つのエリアに分かれています。外郭城は防衛の役割を果たし、その中に位置する皇城は行政や儀式が行われる場でした。 そして、さらに奥にある紫禁城は、皇帝とその家族のプライベートな居住空間として厳重に管理されていました。これらのエリアは、皇帝の権威とベトナムの宮廷文化を象徴しています。 特に注目すべき建物の一つが太和殿(タイホア殿)です。 この場所は、皇帝が公式な行事を行うための中心的な建物であり、その豪華な装飾と威厳ある雰囲気が訪れる人々を圧倒します。 また、午門も見逃せないポイントです。この門は、皇帝が儀式の際に通る唯一の通路であり、王宮のシンボルとも言える存在です。 特に異彩を放つのがキエンチュン宮殿(Kiến Trung Palace, 建中宮)です。歴史と文化が交錯するこの宮殿は、ベトナムの伝統と西洋建築が見事に融合した珍しい建築物でした。 キエンチュン宮殿が建設されたのは1921年から1923年の間のことです。第12代皇帝である啓定帝と第13代皇帝の保大帝の治世にわたって使用され、主に皇帝の住居として機能していました。保大帝はこの宮殿で日々の生活を送り、外交活動や重要な会議もここで行われました。当時のフランス植民地時代の影響を受けて建設されたこの宮殿は、ベ...

ホイアンナイトマーケット:幻想的なランタンの光に包まれるナイトマーケット

ホイアンのホテルで一瞬部屋を確認した後、すぐにツアーが用意した夕食に出かけました。 ホテルは、Hoian Central Boutique Hotel & Spaで旧市街へも徒歩で行ける距離で、部屋も結構良いものでした。ツアー料金にホテル代は追加されるような料金体系で、年末年始の3泊でそれほどの値段ではなかったと思いますが、想像よりかなり良いものでした。円安の時代ですが、ベトナムではまだまだ贅沢ができるぐらいの差はあるのでしょうか。 バスルームも浴槽だけでなく、シャワーも別途ついていました。蛇口がレトロな感じなのも良いと思います。 夕食は、The Old Daysというレストランで伝統的なベトナム料理を食べました。フォー、春巻き、揚げバナナなどのメニューでした。 夕食の後、雨が降ってきたため、一度ホテルに戻った後、ホイアンナイトマーケットに行きました。 ホイアンナイトマーケットは、ベトナム中部に位置するホイアン古町の象徴的な観光スポットの一つです。この市場は日中のホイアンの魅力とはまた異なる、夜ならではの幻想的な雰囲気を楽しむことができます。訪れるとまず目に飛び込んでくるのが、色鮮やかなランタンの灯りです。ホイアンはランタンの街としても知られ、ナイトマーケットではその美しさが存分に堪能できます。大小さまざまなランタンが通りを照らし出し、その光景はまるで絵画のようです。 ナイトマーケットでは、地元の料理やスナックが多くの屋台で提供されています。ホイアン名物のカオラウやバインセオ、揚げ春巻きなど、多彩なベトナム料理を味わうことができるのが魅力です。また、新鮮なフルーツを使ったスムージーやデザートも充実しており、食べ歩きをしながら市場を散策するのが楽しい時間となるでしょう。(生ものは体に合わないこともあるので気をつけてください) さらに、ナイトマーケットでは手工芸品やお土産品も豊富に取り揃えられています。特にランタンは観光客に人気のアイテムで、持ち帰り用に小さく折りたたむことができるデザインのものも販売されています。その他にも、地元のアーティストによる絵画や、アクセサリー、伝統的なベトナム服など、バラエティに富んだ品々が揃っています。 この市場はただの買い物の場ではありません。通りには活気が溢れ、現地の人々や観光客が入り混じる中、音楽や路上パフォーマンスが雰囲気を...

朱印船のモニュメント:日本とベトナムの絆、ホイアンに残る朱印船貿易の足跡

ホイアンの旧市街の西の端に朱印船(しゅいんせん)のモニュメントがあります。 江戸時代初期、日本は東南アジア諸国との貿易を活発に行っていました。その中でも、ベトナムのホイアンは朱印船貿易の拠点として重要な役割を果たしていました。 朱印船貿易とは、徳川幕府が発行する朱印状という許可証を持つ船が海外へ渡航し、公認の貿易を行う制度のことです。16世紀末から17世紀にかけて、日本の商人たちは木材や漆器、刀剣などを積んでホイアンへ向かい、現地では絹織物や陶磁器、香料などを日本へ持ち帰りました。こうした交易の結果、ホイアンには日本人商人が定住し、日本町と呼ばれるコミュニティが形成されました。 ホイアンの日本町には、最盛期には数百人の日本人が暮らしていたと言われています。彼らは貿易だけでなく、現地の人々と交流し、結婚することもありました。特に、荒木宗太郎という商人はベトナム広南国(こうなんこく、クァンナムこく)の王族の女性と結婚し、地元社会に深く溶け込んでいきました。 また、日本人によって建設された来遠橋(日本橋)は、ホイアンの象徴的な建築物の一つです。1593年に架けられたこの橋は、日本町と華人街をつなぐ役割を果たしており、当時の交流の証として今も残っています。日本風の意匠が施されたこの橋は、ホイアンの歴史的な魅力を語る上で欠かせない存在です。 しかし、朱印船貿易は長く続きませんでした。1630年代になると、徳川幕府が鎖国政策を強化し、日本人の海外渡航を制限しました。1635年には日本船の東南アジア渡航が全面的に禁止され、ホイアンの日本町も次第に衰退していきました。やがて日本人の姿は消え、ホイアンでの日本の影響は歴史の一部となりました。 現在、ホイアンはユネスコ世界遺産に登録され、多くの観光客が訪れる人気の町となっています。日本橋は今もなお健在で、当時の日本とのつながりを感じさせる場所として親しまれています。歴史的な街並みの中に、日本の文化が息づいていた時代の名残を探しながら歩くのも、ホイアン観光の魅力の一つです。 旅程 成田空港 ↓(ベトナム航空) ダナン国際空港 ↓(バス) ハン市場 ↓(徒歩) ダナン大聖堂 ↓(バス) ホテル(ホイアン) ↓(徒歩) レストラン(The Old Days - Restaurant & Bar) ↓(徒歩) 朱印船のモニュメント ↓(...

ダナン大聖堂:街歩きに彩りを添えるピンクの尖塔

ハン市場を見た後、そのまま徒歩でダナン大聖堂に向かいました。ベトナムの道路は交通量が多く、特にオートバイが多く近くをすっと通っていくので結構ドキッとすることが多いです。 ダナン大聖堂(Da Nang Cathedral)は、ベトナム中部の都市ダナンに位置するカトリック教会で、ピンク色の外観から「ピンクの教会」として知られています。 また、屋根上に取り付けられた鶏の風見鶏にちなみ、現地では「鶏(コン・ガー)教会(Con Ga Church)」とも呼ばれています。 ダナン大聖堂は、1923年にフランス人神父によって建立されました。当時はフランス領インドシナ統治下であり、欧州様式の宗教建築が東南アジア各地で建てられた時代背景があります。 正式には「イエズスの聖心大聖堂(Nha Tho Chanh Toa Da Nang)」と称され、ダナンのカトリック教区における司教座聖堂となっています。 パステルピンク色の外壁が非常に印象的で、フランス植民地時代のゴシック様式を踏襲しています。正面には尖塔があり、その先端には風見鶏が掲げられています。 内部はステンドグラスをはじめ、カトリック教会としての荘厳な雰囲気が感じられますが、規模は比較的コンパクトで、観光客にも親しみやすい空間となっています。 ダナン大聖堂は、地元カトリック信者にとってはミサや宗教行事が行われる重要な教会であり、日曜日や祝祭日には多くの信徒が集まります。 ダナン大聖堂は、カトリック信仰の場としての歴史的価値と、フォトジェニックな観光名所としての魅力を兼ね備えた場所と言えます。 旅程 成田空港 ↓(ベトナム航空) ダナン国際空港 ↓(バス) ハン市場 ↓(徒歩) ダナン大聖堂 ↓(バス) ホテル(ホイアン) ↓(徒歩) レストラン(The Old Days - Restaurant & Bar) ↓(徒歩) ホイアンナイトマーケット ↓(徒歩) ホテル 関連イベント 周辺のスポット ハン市場 コン市場 ドラゴンブリッジ ミーケビーチ チャム彫刻博物館 地域の名物 フォー アオザイ 関連スポット リンク ダナン市内の人気フォトスポット・ピンクの大聖堂を見に行こう | Danang de 観光 | ダナンスタイル || ダナンが好き Danang.Style ダナンの人気観光スポット「ダナン大聖堂」の見どころは?...