バルセロナを歩いていた本日、体調は万全ではありませんでした。
市場で果物をつまみ、街角に現れるガウディの建物を眺めながら、ゆっくりとした足取りでゴシック地区へ向かいました。
サンタ・エウラリア大聖堂の前に着くと、広場は観光客でにぎわっていましたが、正面の影がちょうど良い休憩所となり、私は階段に腰掛けて外観の装飾をしばらく見上げました。尖塔は空へ細く伸び、正面ポータルには繊細なレースのような彫刻が重なり合い、バラ窓の周りには聖人たちが列をなしていました。体力が落ちているときほど、静かに眺めるだけの時間が贅沢に感じられます。
この大聖堂は「聖十字架と聖エウラリア」に捧げられた教会で、起源は中世にさかのぼります。現在のゴシック様式の骨格は13~15世紀に整えられ、都市の繁栄とともに増改築が重ねられてきました。守護聖人エウラリアは若くして殉教したと伝えられ、内部の地下には彼女にゆかりの場所があり、回廊では彼女の年齢を象徴する白いガチョウが世話されていることで知られています。外観は中世の意匠を尊重しながら後世に整えられた部分もあり、長い時間を積み重ねた都市の記憶そのもののように感じられます。
残念ながらこの日は体調がすぐれず、内部拝観は見送りました。当時は「また今度でいいか」と思ってしまいましたが、今振り返るとやはり勿体なかったです。石の肌理や彫像の表情、ゴシックの陰影は、扉の向こうでどれほど豊かな世界を見せてくれたのだろう――そう想像しながら、私は広場の風をしばらく浴びていました。ひと息ついたあと、予約していたフラメンコの劇場へ向かいました。あの夜の情熱的なリズムと、昼間の静かな聖堂前の時間は、同じ街の振り幅として今も記憶に残っています。次にバルセロナを訪れるときは、必ず扉をくぐり、聖人の物語と石造りの時の流れに、正面から向き合いたいと思います。
旅程
(略)
↓(徒歩)
カサ・ビセンス
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
ホテル
周辺のスポット
- バルセロナ市歴史博物館
- サンタ・マリア・ダル・ピ教会
地域の名物
- ガスパッチョ
- パエーリャ
- シェリー酒
コメント
コメントを投稿