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群馬県立歴史博物館:土器と馬具が語る東国の古代史、古代の記憶と出会う

午前中は世界遺産の高山社跡へ行った後、群馬県高崎市にある群馬県立歴史博物館を訪れました。群馬県は訪ねたいところが多いですが、距離があったり交通網が充実していないのが残念です。自動走行のバスやタクシーが普及して交通のコストが下がると、こういった地方観光のブームが来ると思います。

最初に目にしたのは、縄文時代の展示でした。縄文土器の独特な造形には、暮らしに根ざしながらも装飾性を追求した美意識が感じられます。耳飾りや石板といった装身具や道具類も豊富に展示されており、人々が自然と調和しつつ、豊かな感性をもって日々を過ごしていたことがうかがえました。

深鉢(縄文時代早期、苗ヶ島大畑遺跡)


土製耳飾り(縄文時代晩期、桐生市)


石板(縄文時代晩期、北米岡遺跡)

続いて、展示の中心のひとつである綿貫観音山古墳に関するコーナーへ。この古墳は6世紀後半に築かれた前方後円墳で、発掘された副葬品の豪華さから当時の支配層の権力や文化水準を知るうえで重要な遺跡とされています。特に目を引いたのは、墳丘を再現したパノラマ展示で、埴輪の配置の様子が立体的に理解できるよう工夫されていました。

国宝にも指定されている馬具や装飾品の数々は、古代東国の技術の高さと中央政権とのつながりを物語っているように感じられました。

馬具(古墳時代、観音山古墳


銅水瓶(古墳時代、観音山古墳

展示を通じて、群馬という土地が縄文時代から古墳時代にかけてどれほど重要な文化の舞台であったかを改めて実感しました。遺物に刻まれた模様や形から、千年以上も前の人々の息遣いが確かに聞こえてくるようでした。

過去を知ることは、今を知ることでもあります。群馬県立歴史博物館は、そうした時間の重なりを静かに教えてくれる場所でした。

旅程

東京駅

↓(新幹線)

高崎駅

↓(電車)

群馬藤岡駅

↓(徒歩 かなり遠い)

ふじの咲く丘

↓(徒歩 かなり遠い)

高山社跡

↓(徒歩 かなり遠い)

群馬藤岡駅

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群馬県立歴史博物館

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