東京都台東区の浅草寺へ行きました。この日は「ほおずき市」が開かれる日で、旅行業務取扱管理者の勉強中に存在を知って以来、いつか実際に見てみたいと思っていた行事です。毎年7月9日と10日に開催のため、平日に休みを取り、浅草へ向かいました。
浅草寺の最寄りに着くと、平日にもかかわらず人の流れが途切れません。海外からの観光客はもちろん、若い日本人の姿も多く、東京の観光地としての浅草の強さをあらためて実感しました。雷門の前で立ち止まる人波を抜け、仲見世商店街を進むと、いつも通り土産物の店先がにぎやかで、歩くだけで「浅草に来た」という気分が高まります。
宝蔵門を越えたあたりから、空気が少し変わりました。目に入ってくるのは、ずらりと並ぶほおずき市の店。鮮やかな橙色の実が提灯のように揺れていて、境内が夏の縁日のような雰囲気に包まれます。一本の茎に5、6個ほど実を付けたものが束になって並ぶ店もあれば、鉢植えが主役の店もあり、値段も数百円から数千円まで幅がありました。どれが「良いほおずき」なのか素人には迷いますが、実の張りや色つや、葉の元気さなどを見比べている時間が、行事に参加している感覚を強くしてくれます。
そもそも浅草寺は、都内でも屈指の古い歴史を持つ寺として知られています。創建にまつわる伝承や江戸の町人文化の中心としての役割など、浅草は時代ごとに顔を変えながらも、人々が集う場所であり続けました。祭礼や市が寺社の境内で行われ、信仰と生活が地続きだった時代の名残が、現代の東京でもこうして息をしているのだと思うと、ただの「イベント」以上の重みが感じられます。観光地としての華やかさの裏に、長い時間をかけて積み上がった土地の記憶があり、それが人を引き寄せる力になっているのでしょう。
この日は本堂も相変わらずの混雑で、落ち着いて参拝するというより、まずは流れに身を置くような状況でした。結果として、参拝は見送り、ほおずき市を一通り見てから帰ることにしました。それでも、宝蔵門を過ぎた先で季節の色に出会い、境内の熱気と人の声を浴びただけで、「来てよかった」と素直に思えます。
勉強で知った行事を、実際の風景として体験できるのは、知識が単なる情報から自分の記憶へ変わる瞬間でもあります。ほおずきの橙色と、平日でも途切れない浅草の人波。その組み合わせが、夏の浅草寺らしさとして、しっかり印象に残る一日になりました。
旅程
浅草駅
↓(徒歩)
↓(徒歩)
浅草駅
関連イベント
- ほおずき市: 7月9日、10日
周辺のスポット
- 浅草神社
- 浅草花やしき
コメント
コメントを投稿