コペンハーゲン観光の2日目は、朝から人魚姫、ローゼンボー城、クリスチャンスボー城と、王都らしい定番どころをテンポよく巡っていました。次は王立図書館の庭園「Garden of the Royal Library」へ向かおうと、スロッツホルメン(Slotsholmen)周辺を歩いていたときです。運河沿いに、古いレンガ造りで、どこか城のようにも見える堂々とした建物が現れ、思わず足が止まりました。
地図を確認すると、そこには「C.F. Tietgens Hus」とあり、説明は「史跡」とだけ。外観の雰囲気から、私は勝手に「宮殿の近くにあるのだから、貴族の邸宅か何かだろうか」と想像しながら眺めていました。ところが、あとで調べてみると、ここは貴族の館ではなく、近代デンマークの金融史に結びつく建物でした。1901〜1904年にかけて、プライベート銀行(Privatbanken)の本社として、建築家アクセル・ベア(Axel Berg)により建てられた建物だというのです。しかも隣には、塔をいただく旧証券取引所「ボーセン(Børsen)」が並び、たしかに“金融の街の顔”が、この一角に凝縮されていました。
この場所の面白さは、建物単体の格好良さだけではありません。すぐ隣のボーセンは、クリスチャン4世がコペンハーゲンを北欧交易の拠点として強化する流れの中で整備された施設で、17世紀前半にはすでに取引の場として使われていたとされます。さらに、1624〜25年にかけて、四匹の竜が絡み合うような独特の尖塔(ドラゴン・スパイア)が載せられ、都市のスカイラインを象徴する存在になりました。旅行者の目には「尖塔がある歴史的建築」と映りますが、背景には国家の商業戦略と都市づくりがあるわけで、知れば知るほど景色の解像度が上がります。
一方のC.F. Tietgens Husも、ただの“銀行っぽいビル”ではなく、周囲の歴史的景観に合わせる意図が読み取れるのが印象的です。デンマーク語版の資料では、ボーセンにふさわしいルネサンス様式として建てられたこと、そしてこの区画にはかつて「De seks Søstre(六人姉妹)」と呼ばれた1650年代の建物群があり、1901〜1904年に現在の建物へ置き換わったことが示されています。つまり、ここは「古いものがそのまま残った」というより、都市が更新されていく過程で“歴史らしさ”を新たにまとい直した場所でもあります。
そのときの私は、金融の中心地だとはまったく気づかず、「お城の近くにある、古そうで立派な建物」として眺め、次の目的地である王立図書館へ向かいました。しかし、旅から戻って情報をつなぎ直してみると、王権の象徴(宮殿・議会)と、商業・金融の象徴(取引所・銀行)が、同じ島の同じ視界に収まっていたことに気づきます。コペンハーゲンの中心部は、美しいだけでなく、国家の仕組みそのものが建築として立ち上がっている――C.F. Tietgens Husの前での短い立ち止まりは、そんなことを後から思い出させてくれる寄り道になりました。
旅程
(略)
↓(徒歩)
人魚姫
↓(徒歩)
↓(徒歩)
デザインミュージアム・デンマーク
↓(徒歩)
(略)
↓(徒歩)
アマリエンボー
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↓(徒歩)
カリタス噴水
↓(徒歩)
(略)
↓(徒歩)
クリスチャンスボー城
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↓(徒歩)
デンマーク王立図書館/Garden of the Royal Library
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↓(徒歩)
Memorial Anchor
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ラウンド タワー
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ホテル
地域の名物
- クリスチャンスボー城
- デンマーク王立図書館
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