徳島をローカルのバスツアーで巡る途中、昼頃に三好市の「祖谷のかずら橋」へ立ち寄りました。バスは橋から少し離れた場所で停まり、渓谷の空気を吸いながら歩いて向かいます。木々の間から祖谷川の流れがのぞき、その先に、縄で編んだような吊り橋が谷をまたいでいるのが見えた瞬間、写真で知っていたはずなのに「本当にこれを渡るのか」と背筋が伸びました。
近づくほどに、ゴールデンウィークらしい賑わいが濃くなっていきます。橋が見えてきたあたりから自然に列ができ、順番を待ちながら、揺れる橋を渡っていく人の足取りをつい目で追ってしまいました。
遠目には心もとない「蔓の橋」に見えたのに、実際は太い木材がしっかり組まれていて、想像より“橋”らしい骨格があります。それでも足元はすき間があり、視線を落とすと川面までの高さが容赦なく伝わってきます。公式情報では、長さ約45m・幅約2m・水面からの高さ約14mで、重さ約6トンのシラクチカズラで組まれているそうです。
いざ一歩踏み出すと、揺れは想像以上でした。手すりを握る力が自然に強くなり、足元の木を確かめながら進むので、歩幅が小さくなります。怖くて立ち止まりたくなる気持ちもあるのですが、橋の上は不思議と流れがよく、混雑しているわりにスムーズに前へ進みました。写真を撮ろうとする人もいましたが、高さと揺れの“現実”の前では、みんな早めに渡り切りたくなるのかもしれません。
渡り終えると緊張がほどけ、自由時間は周辺を散策しました。近くの琵琶の滝は、橋のスリルとは対照的に、水音が静かに気持ちを整えてくれます。小腹がすいて団子を頬張りつつ、かずら橋の資料展示も眺めました。ちょうど「3年に一度架け替える」といった説明があり、かずらを蒸すところから始まる工程が紹介されていて、目の前の“観光名所”が、手間と技術で維持されていることがよく分かりました。実際に、祖谷のかずら橋は老朽化が早いため3年ごとに架け替えが行われると案内されています。
歴史に目を向けると、この橋には「秘境・祖谷」ならではの伝承が重なっています。平家の落人が追っ手から逃れるため、いざという時に切り落とせるように架けたという話など、いくつもの説が語られてきました。さらに、深い渓谷地帯では、かずら橋がかつて重要な交通手段でもあったとされます。そうした背景を知ると、揺れの怖さも含めて、ただのアトラクションではなく、土地の暮らしの記憶に触れている感覚が残りました。
名残惜しさを抱えつつバスへ戻り、次の目的地である小便小僧へ向けて出発しました。祖谷のかずら橋は、渡った直後の高揚感だけで終わらず、歩いて近づき、揺れを体で受け、展示で“支える技”を知ることで、旅の記憶が一段深く刻まれる場所でした。
旅程
阿波池田駅
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阿波池田バスターミナル
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郷土料理の昼食
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阿波池田駅
周辺のスポット
地域の名物
- 祖谷そば
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