バリ島の旅もいよいよ最終日になりました。ツアーの締めくくりに訪れたのは、緑と芸術の町として知られるウブドの中心部にあるウブド王宮です。ビーチリゾートの印象が強いバリ島ですが、島の内陸に入ると空気が少し変わり、宗教と王権、そして芸能が暮らしの中に自然に溶け込んでいることが実感できます。
ウブド王宮は、観光施設のように完結した「遺跡」ではなく、現在も王族が暮らしている場所だと案内されました。だからこそ、敷地の空気には生活の気配が残っていて、過去の栄光を展示するというより、今も続く伝統の一部をそっと覗かせてもらうような感覚になります。バリ・ヒンドゥーの世界では、王や貴族は政治的な存在であると同時に、宗教儀礼や文化活動を支える中心でもありました。ウブドが「文化の都」と呼ばれる背景には、王宮が芸術や舞踊、工芸を保護し、人々の信仰と結びついた形で育ててきた歴史があります。
王宮を歩いてまず目を奪われたのは、区域ごとに設けられた門の装飾でした。門は単なる出入り口ではなく、境界を示し、聖と俗、内と外を分ける象徴でもあります。石や漆喰に施された彫刻は驚くほど精細で、近づいて見れば見るほど、線の一つひとつに手仕事の執念のようなものが感じられました。そこにはガルーダなどの神話的な存在が彫られており、バリ島の装飾が「美しいから飾る」のではなく、物語と信仰の体系を可視化するためにあるのだとあらためて思いました。ガルーダはインド起源の神話に連なる霊鳥で、善き力や守護のイメージを帯びて語られます。そうした象徴が門に刻まれることで、この場所が単なる建築物ではなく、信仰と権威の結節点であることが静かに示されているようでした。
王宮を一通り見終えた後は自由時間になり、ウブドの街歩きへ向かいました。中心部のウブド市場は、観光客の賑わいと地元の生活が交差する場所で、王宮の落ち着いた空気から一転して、色と音の情報量が一気に増えます。布や工芸品、土産物が並ぶ景色は華やかですが、ふとした瞬間に、供物を手にした人や、寺院へ向かうような装いの人が行き交い、日常のすぐそばに儀礼があるバリ島らしさが顔を出します。王宮で見た彫刻のモチーフが、市場に並ぶ工芸品の意匠として反復されているのに気づくと、歴史や信仰が観光のための「演出」ではなく、生活の側から自然に立ち上がっていることがよく分かります。
旅の最後に王宮と市場を続けて巡ったことで、ウブドという町の輪郭が少しはっきりしました。王宮は過去の権力の遺構ではなく、今も続く文化の芯であり、その周囲に市場や芸術、日々の暮らしが広がっているのだと思います。ビーチの開放感とは違う、内陸の静けさと濃密さ。門の彫刻に刻まれた神話の存在と、市場の喧騒の中にある生活の手触りが、旅の終わりに一つにつながったような時間でした。
旅程
ホテル
↓(観光バス)
Arnadi’s silver and gold and silver class
↓(観光バス)
↓(徒歩)
ウブド市場
↓(徒歩)
↓(観光バス)
テガララン ライステラス
↓(観光バス)
ングラ・ライ国際空港(DPS)
↓(ガルーダ・インドネシア航空)
成田空港(NRT)
周辺のスポット
地域の名物
- ナシゴレン:焼き飯
- ケチャ:ダンス
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