最終日の5日目もバリ島で過ごし、この日は午前中にウブドの町歩きを楽しんだあと、ちょうどお昼どきにテガララン ライステラスを訪れました。ツアーでの移動にもだいぶ慣れてきた頃で、旅の終わりが近づいている少し名残惜しい気分と、バリで過ごした年末年始の実感が、ようやくゆっくりと落ち着いて感じられるようになっていました。
テガララン ライステラスでは、谷一面に広がる棚田を見下ろすようにレストランやカフェが並んでおり、その一角で昼食をとりました。目の前には、鮮やかな緑の段々が幾重にも重なり、複雑な曲線を描きながら谷へと降りていきます。日本の棚田とはまた違う、南国らしい濃い緑と、ところどころに見えるヤシの木が、いかにもバリ島らしい風景をつくっていました。
昼食はナシゴレンなど、旅の間すっかりおなじみになったインドネシア料理です。スパイスの香りを楽しみながら、視線を少し遠くに向けると、谷の向こう側では観光客が巨大なブランコに乗っていました。谷に向かって大きくこぎ出していくブランコは、見ているこちらが少しひやひやするほどの高さですが、乗っている人たちは歓声をあげながら、バリの棚田を背景に思いきり空中散歩を楽しんでいるようでした。
そんなにぎやかな一角がありつつも、全体としてはどこかゆったりとした時間が流れていました。この旅の間、ここまでほとんど雨に降られることがなかったのですが、テガラランでは突然、南国らしいスコールのような雨が降り出しました。ざぁっと強い雨音が棚田一面を包み、レストランの屋根を叩く音と、どこからともなく聞こえてくる民族音楽のリズムが重なって、不思議と心地よいBGMになっていました。涼しい風も吹き抜け、ナシゴレンを食べ終わるころには、旅の疲れもあって、椅子でそのまま眠ってしまいそうなくらいリラックスした時間になりました。
バリ島のライステラスは、単に美しい景色というだけでなく、長い歴史を背景に持つ文化的な景観でもあります。バリでは古くから「スバック」と呼ばれる水利組合が稲作を支えてきました。山から引いた用水路の水をどのように分配し、どの時期にどの田んぼに水を入れるかといったことを、村同士で話し合いながら調整してきた仕組みです。その根底には、人と自然、神々の調和を重んじる「トリ・ヒタ・カラナ」という考え方があり、寺院と水と田んぼが一体となって成り立つバリ独特の農村景観が育まれてきました。
こうした水利システムと棚田の景観は、「バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学を体現するスバックの水利システム」として世界遺産にも登録されています。登録の中心となっているのはジャティルイの棚田など一部のエリアですが、テガラランの棚田も同じ文化的背景の上に成り立っており、その整然とした段々の形や、水路が縦横に走る様子から、長い年月と人々の手によって大切に守られてきた景観であることが伝わってきます。世界遺産のコアエリアに含まれているかどうかにかかわらず、「バリの棚田文化」の一端を体感できる場所であることには変わりありません。
昼食の時間が終わるころ、さきほどまで激しく降っていた雨は、嘘のようにすっと上がりました。雨にぬれた棚田は一層色が深くなり、水をたたえた田んぼの面には、曇り空とヤシの木のシルエットが静かに映っていました。ちょうど食事のあいだだけ雨に守られたような形になり、「運が良かったな」と思いながら、再びバスに戻りました。
テガラランを後にして、バスは次の目的地であるティルタ ウンプル寺院へと向かいます。年末年始のインドネシア旅行もいよいよ終盤に差し掛かり、棚田を眺めながら過ごした穏やかな昼下がりと、スコールの雨音に包まれたひとときは、バリ島での最後の一日を象徴するような、静かで豊かな思い出になりました。
旅程
ホテル
↓(観光バス)
Arnadi’s silver and gold and silver class
↓(観光バス)
↓(徒歩)
ウブド市場
↓(徒歩)
↓(観光バス)
↓(観光バス)
↓(観光バス)
ングラ・ライ国際空港(DPS)
↓(ガルーダ・インドネシア航空)
成田空港(NRT)
地域の名物
- ナシゴレン:焼き飯
- ケチャ:ダンス
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