修善寺温泉の朝の湯けむりで体を温め、韮山反射炉で近代化の息吹に触れたあと、旅の締めくくりに三島市街地へ向かいました。最後の目的地の一つは、伊豆国一之宮として古くから崇敬を集めてきた三嶋大社(みしまたいしゃ)です。源頼朝が挙兵の際に戦勝を祈願し、その後も篤く崇敬したことで知られる社で、三島という地名の由来にもつながるほど地域の中心に座しています。御祭神は大山祇神と事代主神で、山川海の恵みと商工航海の守護を感じさせる取り合わせです。
境内には西から入りました。参道に足を踏み入れると、砂利の感触が一歩ごとに心を静め、正面の神門へと視線が導かれます。
厳かな佇まいの門をくぐると空気がさっと澄み、舞殿の存在感が目に飛び込んできました。
晴れた空の下、朱の柱と木組みがやわらかな光を受けて、儀礼の場としての気配を放っています。舞殿の前でしばし足を留め、祝祭の音や装束の気配を想像しながら、本殿へと進みました。
拝殿で、旅の無事とこれからの精進をお祈りします。頼朝の時代から続く祈りの連なりに自分の願いがそっと重なっていくようで、背筋が自然と伸びました。参拝を終えた後は、境内をゆっくり巡ります。神池のほとりでは水面が穏やかに揺れ、古社らしい静けさが漂っていました。水に映る社殿の影を眺めていると、山の神と海の神を祀る社らしい、清冽で開かれた雰囲気がいっそう際立ちます。
総門を振り返ると、一直線に伸びる参道の向こうに境内の時間が凝縮されて見えました。修善寺の温泉情緒、反射炉の近代史、そして古代からの信仰を束ねるこの社で一日がきれいに結ばれた気がします。歴史の層をいくつも重ねた静岡東部の旅の終着点として、三嶋大社は静けさと力強さの両方を感じさせてくれる場所でした。次に訪ねるときは、季節の花が彩る頃に、舞殿の前の空気の変化もまた味わってみたいと思います。
旅程
東京
↓(新幹線/伊豆箱根鉄)
修善寺駅
↓(バス)
修善寺温泉バス停
↓(徒歩)
日枝神社(修善寺)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
独鈷の湯
↓(徒歩)
(略)
↓(徒歩)
指月殿
↓(徒歩)
↓(バス)
修善寺駅
↓(伊豆箱根鉄道)
伊豆長岡駅
↓(徒歩)
↓(徒歩)
伊豆長岡駅
↓(電車)
三島駅
↓(徒歩)
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源兵衛川
↓(徒歩)
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三島駅
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