プラハ観光2日目の午後、カレル橋からプラハ城へ向かう坂道を上る途中で、マラー・ストラナ地区の聖ミクラーシュ教会(St. Nicholas Church)に立ち寄りました。
旧市街の喧騒から少し離れるだけで空気が変わり、石畳の広場に面して現れる大きなファサードと丸いドーム、そして時を刻む鐘楼のシルエットがまず目を奪います。正面に配された聖人像も堂々としており、外観だけでもバロックの迫力を十分に感じました。
中へ入ると、外観以上の華やかさが広がっていました。黄金色に輝く祭壇装飾や彫像、柱頭の緻密な細工が連なり、見上げればドーム全体を満たす天井画が空へ抜けるように描かれています。ドームの主天井画はフランティシェク・ザヴェル・パルコによるもので、内部の彫刻にはフランティシェク・イグナーツ・プラツェル作品が並びます。さらにパイプオルガンは約4,000本のパイプを備え、1787年にはモーツァルトもここで演奏したと伝わります。音の残響が豊かな空間で、当時の音色を想像するだけで胸が高鳴りました。
この教会は、13世紀のゴシック教会跡に1704年から1755年にかけて建てられたプラハ・バロックの代表作です。設計・施工には、父クリストフと子キリアン・イグナーツのディーンツェンホーファー親子が深く関わり、のちにアンセルモ・ルラーゴが塔をロココ様式の趣で完成させました。曲線を多用した平面計画と巨大なドーム、光の取り込み方が相まって、空間全体がうねるように感じられるのが特徴です。
外へ出ると、広場の一角に立つ「Column of the Holy Trinity(聖三位一体の柱)」が、教会と向かい合うようにそびえています。1713~14年のペスト終息への感謝として1715年に建てられた記念柱で、設計はジョヴァンニ・バッティスタ・アリプランディと伝えられます。基壇部をめぐる小さな泉と、チェコゆかりの聖人像が取り囲む構成はとても象徴的で、近寄って見ると金色の装飾が夕光にきらりと反射していました。広場を行き交う人々の足元で、水音だけが静かに響くのも印象的でした。
カレル橋から城へ続く王道の途中にありながら、教会の内部では時間が緩やかに流れます。外の塔時計が現実に引き戻してくれるまで、天井画と彫像の世界にしばし浸りました。プラハの壮麗なバロックは、遠目の景観だけでなく、細部の仕事にこそ惚れ込むべきだと感じた一日でした。
旅程
(略)
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クラム・ガラス宮殿
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Old Town Bridge Tower
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