烏来瀑布の轟音を背にロープウェイに乗り、谷を越えて山上の雲仙楽園へ向かいました。断崖の上に伸びる索道は、この楽園へのアクセスとして1960年代に整備されたもので、開業は1967年。
台湾最初期の本格的なテーマパークとして始まった歴史を思うと、揺れるゴンドラの時間にもどこか郷愁が混じります。
山上に着くと、川沿いの遊歩道に泰雅族(タイヤル族)の衣装をまとい、太鼓や弦楽器を手にした像が点在していました。
赤い橋がところどころで谷をまたぎ、緑の斜面に鮮やかなアクセントを添えています。烏来という地名自体が、泰雅語で「熱い水」を意味する言葉に由来するといわれ、温泉とともに先住の文化がこの地の基層を成していることを、静かな展示や意匠から感じ取りました。
しばらく進むと小さな湖に出ました。水面には鯉がゆったりと泳ぎ、ボートの桟橋や木立に囲まれた広場が穏やかな時間をつくっていました。観光施設として整えられた湖や散策路がありつつ、谷の風と水音がそれをのみ込むように調和しているのが印象的でした。
帰りは再びロープウェイで瀑布側へ戻り、麓では烏来老街の博物館に立ち寄りました。2005年に開館した烏来泰雅民族博物館では、顔の刺青文化や織物、祭礼から日々の暮らしまで、泰雅族の歴史と精神世界が丁寧に解き明かされています。山上で目にした像の所作や文様が、展示の解説と結びついて一層リアルに立ち上がり、この谷が単なる行楽地ではなく、文化の記憶が折り重なる場所であることを実感しました。
瀑布の白と深い森の緑、赤い橋の線、そして先住の物語。雲仙楽園の一日は、景色の美しさに歴史の層が静かに重なる、そんな時間でした。
旅程
(略)
↓(徒歩)
烏来瀑布
↓(ロープウェイ)
↓(ロープウェイ)
新北市烏来泰雅民族博物館
↓(徒歩)
(略)
↓
中華民国総統府
↓(徒歩)
↓(徒歩)
台北駅
↓(地下鉄)
忠孝復興役
↓(徒歩)
ホテル
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