トロント観光の2日目に、旧市役所などを巡ったあと、セント・ローレンス・ホールを訪れました。トロントの中心部を歩いていると、近代的なビルの間に歴史ある建物が自然に溶け込んでいて、街そのものが古い時間と新しい時間を同時に抱えているように感じられます。セント・ローレンス・ホールもその一つで、外から見るとクリスマスの装飾が施されていたこともあり、最初は1850年に建てられた建物とはあまり感じませんでした。
しかし、近づいて見てみると、窓枠の木の質感には確かに年季がありました。石造りの外観や整った立面はきれいに保たれていて、華やかな装飾に目を奪われますが、細部には長い年月を越えてきた建物らしい落ち着きがあります。セント・ローレンス・ホールは、1850年にトロント市によって建てられた公共建築で、建築家ウィリアム・トーマスの設計によるルネサンス復興様式、またはイタリア風の建築として知られています。もともとは市民の集会、コンサート、展示会などに使われる場所として造られ、19世紀のトロントでは社交や文化活動の中心的な場でした。
この建物が興味深いのは、単なる美しい歴史的建築というだけでなく、トロントという都市が成長していく過程を映している点です。セント・ローレンス地区は、かつて市場を中心に人や物が集まる場所でした。ホールの背後には、名前のよく似たセント・ローレンス・マーケットがあり、現在でも観光客や地元の人々でにぎわっています。セント・ローレンス・ホールとマーケットは別の建物ですが、どちらもこの一帯がトロントの商業や市民生活の中心だったことを感じさせます。
中には入りませんでしたが、外観を眺めるだけでも、ここがかつて講演会や舞踏会、音楽会などで人々が集まった場所だったことを想像できました。現在の観光では、どうしても展望台や博物館、ランドマークに目が向きがちですが、こうした街角の歴史的建築にも、その都市がどのように発展してきたかを伝える力があります。特にこの建物は、1967年にカナダ国定史跡に指定されており、19世紀カナダの公共建築としても重要な存在とされています。
年末のトロントは冷たい空気の中にも、クリスマスから新年へ向かう華やかさが残っていました。その雰囲気の中で見たセント・ローレンス・ホールは、歴史的建築という重々しさよりも、今も街の一部として使われ続けている生きた建物という印象が強く残りました。その後、同じセント・ローレンスの名を持つマーケットへ向かいながら、トロントの歴史は大きな観光名所だけでなく、こうした一つ一つの建物の中にも静かに残っているのだと感じました。
旅程
(略)
↓(徒歩)
セント・ジェームズ教会
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
グッダーハム・ビル
↓(徒歩)
(略)
コメント
コメントを投稿