エストニア・タリン観光の2日目に、大ギルド会館を訪れました。この日は朝から旧市街を歩き、三人姉妹や聖オレフ教会などを見たあと、タリンらしい石畳の道を進みながら大ギルド会館へ向かいました。
タリンの旧市街は、街全体が中世ヨーロッパの雰囲気を濃く残している場所です。日本人の感覚で見ると、どの建物も十分に古そうに見えてしまい、どれが特に歴史的な建物なのか、すぐには分かりにくいところがあります。むしろ、それほどまでに街並み全体がよく残っていることに驚かされます。日本であれば、寺社や城下町の一角だけが歴史的空間として残っていることが多いですが、タリンでは旧市街そのものが一つの時代をまとっているように感じました。
大ギルド会館は、15世紀初めに建てられたゴシック様式の建物です。中世のタリンでは、商人たちの組織であるギルドが大きな役割を持っていました。とくに大ギルドは、町の有力な商人たちが集まる重要な組織で、ハンザ同盟を通じた北ヨーロッパの交易とも関わりが深かったそうです。タリンが単なる地方都市ではなく、バルト海交易の中で重要な位置を占めていたことを考えると、この建物はただの集会所ではなく、町の経済や政治、社交の中心の一つだったのだと思います。
ただ、実際に目の前にした大ギルド会館は、想像していた「いかにも古びた中世の建物」とは少し印象が違いました。外壁は補修されているためかとてもきれいで、むしろ隣の建物の方が古そうに見えるほどでした。歴史的な建物というと、つい風化した石やくすんだ壁を想像してしまいますが、長く使われ続け、手入れされてきた建物だからこそ、現在も端正な姿を保っているのかもしれません。
正面を見上げると、屋根に近い妻壁のあたりに十字架のような装飾がありました。そのため、一瞬、教会のようにも見えました。タリン旧市街には教会が多く、尖塔や石造りの建物が街のあちこちにあるため、商人の会館と宗教建築の印象が重なって見えたのかもしれません。けれども、ここは祈りの場というよりも、中世の商人たちが集まり、取引や会合、祝宴などを行った場所でした。そう考えると、静かな外観の奥に、当時の活気ある会話や商談の場面が想像されます。
「ギルド」という言葉には、どこか特別な響きがあります。日本で暮らしていると、ギルドという言葉はファンタジー映画やゲームの中で聞くことの方が多く、現実の歴史として目の前に現れると不思議な感覚があります。中世ヨーロッパを舞台にした物語に出てくるような言葉が、ここでは実際の都市の制度として存在し、そのための建物が今も残っているのです。外国人が日本の侍屋敷を見たときに感じる特別感も、これに近いのかもしれません。
今回は中には入りませんでしたが、現在の大ギルド会館はエストニア歴史博物館の建物として使われています。中に入れば、エストニアの歴史や、タリンが歩んできた交易都市としての姿をより深く知ることができたはずです。外観だけの見学ではありましたが、旧市街を歩く中で、タリンという町が中世の交易とともに発展してきたことを感じさせてくれる場所でした。
大ギルド会館を後にして、次はブラックヘッド会館へ向かいました。大ギルド会館もブラックヘッド会館も、名前だけで中世の都市社会を想像させる建物です。タリン旧市街では、教会や城壁だけでなく、商人たちの組織が残した建物からも、この町の歴史を感じることができます。華やかな観光名所というより、街の奥行きを静かに教えてくれるような場所でした。
旅程
(略)
↓(徒歩)
太っちょマルガレータ
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
↓(徒歩)
Church of the Transfiguration of Our Lord
↓(徒歩)
聖霊教会
↓(徒歩)
↓(徒歩)
ブラックヘッド会館
↓(徒歩)
(略)
コメント
コメントを投稿